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第10回 不便は、幸福の種

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田舎の生活はとっても楽しいけれど、便利かというとそうではありません。オークランドの町中からほんの少し離れただけでありながら、ここまで田舎感が満喫できる不便さもニュージーランドならではです!

引っ越し前日のショックな出来事

田舎暮らしが夢とは言え、今どき、さすがにネット環境がないと少々厳しいですよね。携帯電話も、私たちが使っていたVodafoneは山のてっぺんに行かないと通じないのです。

引っ越し当時、レーニエは在宅でも仕事をしていてネット環境は必須条件でしたから、電話会社に確認して、ネット回線使えます、との返答をもらった上で引っ越しを決めたのでした。

ところが!!

引っ越し前日、NZ Telecom(現Spark)から電話が。「あなたが契約を希望されている住所はブロードバンド回線が利用できません」

は?!あの~、大丈夫って言ったの誰だっけ??でもここはニュージーランド。言ったところで変わるはずがありません。

という訳で、携帯は繋がらない、自宅の電話は雑音だらけで聞こえない、インターネットも使えない、テレビも見れない
今のご時世なかなか体験出来ないレトロな環境で、我が家の新生活は始まったのでした。

fbメッセージ

検討に検討を重ねて出した結論は、サテライト(衛星)契約。宇宙を巡る我が家のネット使用料は、一か月最大14Gbで、月々約200ドルという手痛い出費となっております。

それはさておき、ネットが使えるようになるまでの約1か月。部屋にポツン、と、世の動きからとり残されたグレースは・・・

「自由だぁ~っ!!!!」

そうなんです!引っ越しで連絡を取らなければならないことがたくさんあって不便なのですが、心はとっても穏やかに”自由”を感じていたのです。

目前に拡がる深い森を眺めながら、誰からも手の届かない場所にいる、安心しきった自分と向き合ったひと時は今も忘れられません。

2日間の暗闇

田舎はまだまだ電気も不安定。嵐が来ると、電球が瞬き、パチン!と暗闇がやってきます。昨年の冬は、最長で丸2日間の停電がありました。

停電

そんな時は、ロウソクの火を灯し、ロマンチックな夜を・・・と優雅にいきたいところですが、悲しいかな、なかなかそんな訳にはいかないのです。

なんたって、電気が止まると水まで使えなくなるのですから!

我が家は、NZではまだまだ一般的な雨水をタンクに貯める方式で生活用水にしています。タンクから蛇口までポンプで運ぶので、停電になるとポンプが動かないので水も出なくなるんですね~。
こりゃ、困りました!

でも冬でタンクがほぼ満タンだったのがラッキーでした!口に入れる水は、はしごに登ってタンクの上から汲み上げます。トイレの水は、牧場に設置してある動物用の給水タンクからバケツリレーで運びます。

ロウソクや懐中電灯の灯りを頼りに、ガスコンロで料理を作ります。ソーラーの懐中電灯も大活躍♪ とっても明るいんですよ!

ソーラー懐中電灯

こんな時、暖炉の火は本当に有難いですね。火があるだけで、家の中が暖かく感じられ、心細さを和らげてくれました。

昔の人って、水道も電気もない中で、どうやって毎日を過ごしていたんでしょうね。想像しても具体的なイメージが出来ませんが、こうした不便を経験していることは、子供たちにとっても財産になるのだろうと思っています。

便利が幸せ??

そんな経験を経て、私たちの危機意識は格段に向上しました。今の世の中、インターネットが使えなくなったら・・・電気が一斉にストップしたら・・・

今の時代って、とっても便利に出来ているように思えますが、自分で制御できないものに生活の多くを委ねているために、その何かにトラブルが起きた時、
一瞬で生活基盤そのものが崩れてしまいます。自由に思えて、実はたくさんのものに縛られているのかもしれませんね。

逆に、昔の生活は不便に思えることがいっぱいあるけれど、自分たちの力で一つずつ積み上げているので、一瞬で全てが失われるということはありません。失われたとしても、大部分は自分たちの手で何とか出来るようになっていますしね。

私たち人類に与えられた知恵は、そろそろ別のところへ向かうべき時期に来ているのではないかと思います。

エコキッチンに学ぶこと

こちらは、グレースが大好きなお向かいさんのキッチンです。可愛いでしょう?

エコキッチン

昔ながらのキッチンですが、彼らは家を建てる時、わざわざこのキッチンを取り付けました。

左側に薪をくべると、右側がオーブンとして使え、上の台にお鍋を置けば調理が出来ます。この火の力で温水が循環して、シャワーのお湯が出るようになっています。更に管が各部屋に繋がっていて、各部屋の暖房としての機能を果たしています。薪が燃えた後の灰は、また土に戻り、土を豊かにしてくれます。

素晴らしいシステムではありませんか?森の中で一定の役目を果たした木を少々拝借して、人間の知恵をほんの少し加えるだけで、これだけの働きをしてくれるのです。

環境に優しい生活、というと、ちょっと面倒くさい感じがします。

でもこんな可愛いキッチンで、自然の火で作ったお料理を、暖かい部屋の中で食べられるって、素敵ですよね。幸せだろうなぁって思いませんか?

ちょっと立ち止まって考えてみる。これが本当の幸せに向かう道なのか。少し違うなと思ったら、方向を少しだけ変えてみよう。

そんなことを思わせてくれる田舎生活なのでした。

皆さまが、幸せに向かって一歩ずつ前進できる一週間になりますように♪

グレース

足揉み屋とB&Bスタッフ兼業中
2014年~家族5人で、オークランド郊外で田舎暮らしスタート。
足揉み屋サイト:http://momijinz.com/
フェースブック:https://www.facebook.com/Momijireflexologynz
たま~に更新ブログ:http://rainiernz.com/