ニュージーランドにはプロのサッカーリーグが無く、トップリーグのナショナルリーグでプレーするクラブも全てアマチュアクラブであるという話を前回しました。日本の皆さんにとってお馴染みで2025年のクラブW杯に出場するAuckland City FC もアマチュアのクラブとなっています。
アマチュアとはいえ、国内最高峰のリーグでプレーする選手たちは、果たして給料をもらっているのでしょうか?
現役選手としてプレーする僕が選手ならではの『生の情報』を届けたいと思います。
アマチュアサッカーとしての契約
先程も言いましたがニュージーランドでプレーする選手はアマチュア選手としてクラブと契約することになります。ここがミソで、アマチュア選手としてサッカーから給料をもらうことは出来ないと契約書に書かれています。
Reimbursement(返済、払い戻し)
しかし、プレーすることによる金銭的援助を全く貰えないのかというと、そうでもありません。契約書にはReimbursementとして返金することは可能と記載されています。
このReimbursementというものは返金や払い戻しを意味する単語であり、サッカーを活動するにあたって必要になった経費をクラブに請求することができます。
- Reimbursementにはどんなものが含まれるかというと以下のものが含まれます。
- ・移動費(主にガソリン代)
- ・保険
- ・サッカー用具(スパイクなど)
- ・ジムメンバーシップ
契約はクラブや選手によって異なりますが、ニュージーランドサッカー協会からアマチュアサッカー選手の上限額として週$150と定められています。
サッカーだけでは生活できないのか
仮に$150を毎週受け取ったとしてもそれだけではニュージーランドでは生活できません。しかしながら、今はどのクラブも海外から外国人選手を集めたり、日本からも多くのサッカー選手がニュージーランドでプレーするために移籍してきます。
そこには少しながらからくりが存在します。
アマチュアサッカーの契約上、給料を渡すことはできないし、Reimbursementも$150がMAXですが、クラブは他の面で選手をサポートすることが可能です。
例えば、外国人選手にはクラブが車を貸してあげたり、クラブ関係の家に住まわせてあげるなどといったケースです。給料をあげることは契約上できないが、生活経費をクラブが負担する事で選手の生活をサポートしてあげるといった感じです。
実際に他の地域から選手を獲得するような際には、このようなオファーが多くありました。他には、仕事の斡旋などで生活サポートをするケースなどもあります。
ちなみにですが、僕も以前はチームメイトの家族と一緒に住まわせてもらうことで、生活費用を限りなくゼロに抑え、生活をサポートしてもらっていました。
実際のところは他にも。。。
こういったサポートをもってしても週$150では生活はかなり厳しいのが現実です。
実際に僕も経験しましたが、貯金などはできず、貯金を切り崩しながら節約していく生活でした。
しかし、それでもクラブ間で選手を獲得しあったり、海外から選手を獲得できることにはもう一つのからくりが存在します。
それがいわゆる、「裏金」です。あまり大きな声で言うべきではないですが、クラブによっては週$150以上の給料を内密に選手に支払っています。公式に支払うことは出来ないので、この場合は現金で手渡しで支払うことが多いようです。
具体的な金額はクラブや選手によって異なりますが、週$600前後は聞いたことのある情報です。
まとめ
今回はニュージーランドサッカーのお金事情についてお話しました。現役選手だからこそ入ってくる生の情報なので、意外なことも多かったと思います。
- 最後に要点をまとめます。
- ・週$150のReimbursement(払い戻し)が上限額
- ・しかし、クラブは給料以外で金銭的なサポートをできる
- ・実際は、現金でそれ以上の給料をもらっている(内密に)選手もいる
ニュージーランドサッカーはまだまだ全体的にお金が無く、選手としてプレーしている立場からすると、もう少しサッカーで給料を貰えたらなというのが正直な気持ちです。
次回は、ニュージーランドサッカーのレベルについて話したいと思います。
NZで現役サッカー選手として活動する日本育ちの日本人。他にもオーストラリアやスペインでもプレー。
現在は選手としてプレーしながらも、自身の経験から世界のサッカーを伝えるべく、サッカースクールを開設。
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