今回は日本で育ってきた私が、ニュージーランドで感じるサッカーの違いについて書いていきたいと思います。実際に試合や練習をしていて感じるon the pitchでの違いも多くありますが、コミュニケーションの取り方やロッカールームでの雰囲気などoff the pitchでも多くの違いを感じています。
文化や人柄、言語などたくさんの違いをサッカーを通じて経験しています。そして、そこが海外でプレーしていて最もおもしろいところでもあります。
正直に言って違いがありすぎて書ききれないので、On the pitchとOff the pitchで前後編に分けて、”違い”を紹介していきたいと思います。
日本とニュージーランドのサッカーの違い〈On the pitch〉
(1) プレースタイル
- 日本: テクニックとスピードを重視、細かいパスワーク、戦術的なプレー。
- ニュージーランド: フィジカルの強さを活かしたダイレクトプレー、空中戦が多い。
やはりニュージーランドの選手は基本的に大きいです。ラグビー大国ならではの激しいタックルなどもサッカーで見られます。
少し細かいところでいうと、日本人選手に比べてパワーがあるので、ロングキックの距離や、シュートの範囲が広くミドルシュートを多く打ってきます。
「打てる時にシュートを打つ」ということを、日本よりも強く求められているように感じます。
一方で、俊敏性のある選手や細かい技術の面では日本の選手の方が優れているように思います。「チームのために」という献身的なプレーは日本人選手の大きな特徴であり、武器であるように思います。
(2) トレーニング方法
- 日本: 練習の規律が厳しく、個々の技術練習が重視される。
- ニュージーランド: 練習が比較的自由で、ゲーム形式の練習が多い。
トレーニングの雰囲気は僕がニュージーランドにきて一番驚いたことかもしれません。
まず日本のようなしっかりとした集合時間がなく(一応あるが遅れてくる人も多い)、予定時間にきっかりと練習が始まるようなことはあまりないです。
練習中でも笑いがあったり、ジョークをかわすなど、比較的自由でゆるい雰囲気で行われています。ただ、ゲーム形式の練習になると勝ち負けにはこだわるので、真剣なモードに一気に切り替わるのも印象的です。
この傾向は育成年代の子供の練習を見るとより顕著に現れます。日本では規律を重んじ、地味でつまらない練習でも上達への鍛錬として、子供達も真剣に練習します。
しかし、ニュージーランドの子供はつまらない練習にはすぐに飽きてしまう子が多い印象です。ここでもポイントやゲーム形式の練習メニューを多く取り入れて、飽きさせないようにする工夫がよく見られます。
(3) サッカーの位置づけ
- 日本: サッカーは人気スポーツの一つで、少年サッカーからプロまで幅広い層が関与。
- ニュージーランド: ラグビーが国民的スポーツで、サッカーの地位はまだ発展途上。
サッカー人口がラグビー人口を超えて、サッカー人気も上昇してきているニュージーランドです。しかし、実際はまだまだラグビーの人気がかなり強い印象があります。
プロリーグがないこともあり、サッカー選手に対する憧れのようなものはニュージーランドにはありません。
ここは日本でサッカー選手に憧れて育ってきた人からすると、少し寂しいところでもあります。
ニュージーランドでプレーしていて、日本人として感じること
- 大柄でダイナミックなプレーが多いニュージーランド
- ニュージーランドの自由で楽しげな練習の雰囲気
- 俊敏で細かいプレーに優れている日本人
- 勤勉で献身的なところは日本人の大きな武器
On the pitchでの違いをまとめるとこのようになります。
フィジカルではニュージーランド人に劣ることが多いかと思いますが、細かいテクニックやスピードは日本人が優れている印象です。
個人的には日本で厳しい環境でサッカーをしてきたこともあり、ニュージーランドのゆるい雰囲気のサッカーは、一番衝撃を受けた部分かもしれません。しかし、それでも試合になると勝ち負けにこだわって真剣な戦いができているところを見ると、「これもありなんだな」と新たな世界をみせられている気分になります。
こうした違いがとても面白く、海外でプレーし続ける一つのモチベーションにもなっています。
次回はOff the pitchでの日本とニュージーランドの違いについて紹介していきたいと思います。
NZで現役サッカー選手として活動する日本育ちの日本人。他にもオーストラリアやスペインでもプレー。
現在は選手としてプレーしながらも、自身の経験から世界のサッカーを伝えるべく、サッカースクールを開設。
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