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他言語で生きること。

『何も持っていなかった私がニュージーランドで見つけた幸せ』の記事一覧へ

外在住者として、SNSをやっていると、時々こんな質問をもらいます。「海外に行きたいけれど、英語力に自信がない」

 

何を隠そう私もきた当初の英語力は、ビギナーレベルでした。

さらに言うと私が暮らし始めたのは、ニュージーランド南島の田舎町。喋るのが早いのにプラスして、ファーマー独自の訛りと、スラングに悪戦苦闘する日々でした。

仕事はもちろん、友達を作るのだってコミュニケーションを取らなければできません。

それでも意外に、英語というコミニケーションツールを奪われても、相手の気持ちを受け取れたり、自分の気持ちを伝えたりすることはできるし、言語じゃなくても方法をある、ということを学びました。

まず、私が一番驚いたのは「ハグ」の文化でした。

特にパーティーなんかにいくと、紹介する時の「ナイストミートゥー!」のたびに初対面でもハグをされます。笑

ボス、同僚、男でも、女でも、関係なくハグをし合う文化は、日本で生きてきた自分には最初、少し居心地が悪いものでした。

そんな中、牧場で初めての死を見ました。自分が必死に赤ちゃんから育ててきた命、涙が止まらなかったのを覚えています。

ボスが何か言っているのだけれど、理解できない。説明もできず一人で泣いている、空っぽの気分でした。

そんな私に、ボスは「do you need a hug?(ハグいる?)」と言い、答えを聞く前に私にハグをくれました。しばらくすると、彼女のパートナー、マネージャーまで出てきて、次々にハグをしていってくれました。

最悪な出来事でしたが、ハグから通じるその人の温かさや優しさに、自分の気持ちは不思議と前向きになっていました。

理由を説明しなくても、なぜだかその人の気持ちが伝わってくる、そして包み込んでくれる。ハグには、説明がいらない肯定感があると信じています。

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牧場に来た時、私は何も持っていませんでした。一人ぼっちで、英語も喋れない、スキルも経験もない、自分で何もないからこそ人より頑張らなきゃいけない、と自覚はしていたのですが、それでもなぜボスが雇ってくれたのかわからないでいました。

ワークビザのスポンサーになってもらった時に、理由を聞くと「きつい仕事の中で、誰かが笑顔でいるとみんなが笑顔になれる。君の役割は大きいよ。」と言ってくれました。

「何もできないなら、せめて笑顔でいよう。」と一人で心がけていたことを、誰かが見てくれていた時は本当に嬉しかったです。

仕事で自分の100パーセントを出したくても、理解したいことが理解できない、伝えたいことが伝えられない、もどかしさにモヤモヤしていた私の頭を、その出来事は軽くしてくれました。

世界の共通言語は英語、というと思いますが、私はいまだに”世界の共通言語は笑顔”だと信じています。

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そのほかにも、スポーツや映画、ゲームなどは世界共通のものも多いです。

私は、周りに日本のアニメファンがたくさんいたので、それをきっかけにコミニケーションを取っていたりしました。

言語は、コミュニケーションとして最高のツールです。ですが、頼りすぎてしまうからこそややこしくなる時もあると私は思うんです。

言葉のすれ違い、裏の意味、日本にいたときに気にしいだった私は、勝手に言葉一つ一つの意味を深く考えすぎてしまって、胸が痛む時もたくさんありました。

ペラペラでない第二言語で生活することは一つの大きなチャレンジですが、言語。というツールを失ったときに見えたものは、心と心のつながりでした。

頼るものがなくなるからこそ、視覚や聴覚、行動、体、心から相手を理解しようとする。そう感じるのです。

それでもやっぱり、生活・仕事をする上で、英語は必須です。私が伝えたいのは「英語力はいらない」と言っているのではなく、新しいステップに踏み出すときに英語が壁になっているのだったら、それが全てじゃないことを頭の片隅に置いておいてほしいと思うのです。

 

田舎の大牧場で日本人一人、たくさんの牛と働いていた、ただの牛好きです。
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