牧場、と聞くと「白黒の牛さんが、草を食べて、寝て、大草原の中のんびりしている」イメージを持つ人が多いのではないでしょうか?
もちろんそんな一面もあります。ですが、一緒に働いてみると、牛の意外な一面に気づくことの方が多いのです。
まず、私のファーム、ニュージーランドのだいたいのファームでは白黒の牛さんの次に「kiwi cross」(ニュージーランド人はキウイと呼ばれることからきている)と呼ばれる交雑種、よくみる白黒の牛さんと(ホルスタイン・フリジョン)、茶色いの牛さん(ジャージー)をかけた牛を扱っているファームが多いです。
品種ごとにも、気性が荒かったり、環境に強かったり、臆病だったり、性格があるのですが、それに加えて私が一緒に働いて感じた牛の性格。というものを紹介していけたらな、と思います。
喜
ミルク搾りの時間が終わり、餌にありつける時間、大体は自力でそこまで歩いて帰らなければいけないのですが、餌を見つけるなりみんな一目散に駆け出します。お腹の空き具合にもよるのですが、尻尾を上げて、頭を振り回しながらスキップしてくる子もいるぐらいです。笑
そのほかにも、子牛の時にいた屋内の牛舎から、外の大きな草原に行く時、子牛たちは自分の力が尽きるまで目一杯走り続けます、たまに止まり方がわからなくて色々なものにぶつかっている子もいるぐらい笑
時には私が呼ぶと、スキップしながら来てくれる子もいて本当に可愛いです。その時ぐらい止まり方はわかっててほしいですが(笑)私が大好きな瞬間です。
怒
牛は500kg以上あります。本気を出せば一人間なんて一瞬でやられてしまいます。
私が牧場で働いていて一番注意していることは「牛と仕事するときは常に逃げ場を作れ」でした。
牛の群れの中には序列があって、必ずリーダーがいると思っています。
必ず一番最初に搾乳牛舎に入ってくる子、そしてそれを待っている群れのみんな、当然のようにいい餌やいい寝床はトップの強い子たちが取ります。
それを崩そうとしようものなら、雌牛であったとしても頭で頭突きの力試しが始まります。
私の牧場では群れが3群いたのですが、ボスはよく「群れの序列が崩れて喧嘩が起きてしまうからあまり各群を変えたり混ぜたりしたくない」とよく話していました。
ニュージーランドの牛を群れで、放牧で飼うというやり方が、牛本来の習性をさらに強く見せてくれているみたいです
彼女は私の牧場でも有名な個体でした。
小柄だけれど、力や気は強くて、明らかに群れのトップに食い込んでいるのだけれど、いつも群れの一番後ろにいて人間が撫でるのを待っているのです。
哀
牧草地で牛を観察していると、必ず毎回隣にいる子たちがいます。いつも一緒に餌を食べ、一緒に歩き、お互いを舐めてあげる。 ミルクを絞る時には必ず隣同士で来て、帰るときはどちらかが終わるまで待っている。
ある日、片方の牛が病気になってしまったので、一方だけ治療中の牛の群に入れたのですが、彼らの悲痛の叫びが止まらないのです、、、
一方が親友を呼び、もう片方が返事をする、声は500m離れた私の家まで響くほどでした。笑
あまりにもかわいそうなので、何の問題もない元気なもう片方のほうも治療中グループに入れられることになりました。
よーく牛たちを観察していると、まるで彼らが会話しているように聞こえてきます。
そのほかにも、ここでは説明できないほどたくさんのドラマがあり、意外な特徴を見せてくれます。
牧場生活を通して牛から学んだことはたくさんありました。
重労働の牧場生活の中、彼らの行動を観察することは私の楽しみでもありました。
もしみなさんも、牛を見かけることがあったら、ぜひ彼らの生活をのぞいてみてくださいね
田舎の大牧場で日本人一人、たくさんの牛と働いていた、ただの牛好きです。
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