【所得補償保険とは?】
所得補償保険(インカム・プロテクション保険)とは、勤め人や自営業者が病気やケガで働けなくなった場合に、減収分を補うための保険です。特に住宅ローンがある方には欠かせない保険といえるでしょう。病気やケガで収入が減っても、この保険があればローンの返済を続けながら、生活を維持していくことができるでしょう。
【病気やケガで働けなくなったときの収入を補償】
保険会社や商品によって若干の違いがありますが、一般的な所得補償保険は年収の75%を上限にしています。年収が5万ドルだったら、保険で年間最大3万7,500ドルまで受け取れるということです。働けない期間が半年ならば、金額はこの半分になります。万が一お亡くなりになってしまった場合には生命保険がありますが、命に別状がなくても不慮の事態で働けなくなってしまうこともあります。こういうときの保険が所得補償保険なのです。
【意外な落とし穴】
しかし、所得補償保険には意外な落とし穴があります。例えば、加入者が交通事故に遭って1年間働けなくなったとします。NZでは交通事故を含め、あらゆるケガを国の機関であるACCが保障します。ACCの保障には治療費だけでなく、ケガで働けない間の休業保障も含まれます。保障額は事故直前の所得を基に算出され、この保障は所得補償保険で受け取れる保険金と相殺されます。
【国の保障以外にボーナスやコミッションも相殺】
ACCの保障以外にも、ケガの休業中にボーナスやコミッション・契約料など、仕事から派生した収入があったら場合、これも所得補償保険で受け取れる保険金と相殺されます。上の年収5万ドルの例でいうと、ACCと仕事関連の収入を合わせて1年間で1万7,500ドルの収入があったとすると、所得補償保険の受け取り保険金の上限が3万7,500ドルに設定されていても、保険金として受け取れるのは2万ドルになります。これが一般的な所得補償保険です。
【多くの加入者が勘違い】
つまり、
1万7,500ドル(ACCと仕事関連の収入)+2万ドル(保険金)=3万7,500ドル
になります。
多くの加入者が、
1万7,500ドル(ACCと仕事関連の収入)+3万7,500ドル(保険金)=5万5000ドル
と勘違いされているので、ご注意を。ケガではなく病気で長期間働けなくなった場合、国から疾病手当(シックネス・ベネフィット)を受け取る場合も保険金と相殺されます。ただし、金利収入や家賃収入など本業以外の収入は、一般的には相殺の対象になりません。
【住宅ローン保険を所得補償保険代わりにする裏ワザ】
「保険料は3万7,500ドルに対して払っているのに、実際に受けとれる保険料が2万ドルなんて!」
と思う方もいるかもしれません。最終的な合計金額は3万7,500ドルになっても、なんだかもったいない感じがする気持ちもわかります。もしも住宅ローンのために所得補償保険に加入している、もしくは加入を検討されているのなら、国の保障や仕事関連の収入と相殺されない裏ワザがあります。それは住宅ローン保険を利用することです。
この話は次回詳しくお伝えします。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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