前回少し触れましたが、ニュージーランドには、ラーニングストーリーという子どもの成長を記していくファイルがあります。今日はそれについて詳しく書きたいと思います。
ラーニングストーリーとは
いわゆる発達の記録で、
- 子どもがどのように園で生活しているか
- 何に興味があり、どう遊んでいるのか
- どのように友達と活動をしているのか
- どのように発達しているか
というのを、写真と文章で保護者に伝えるものです。
サンプルを作ってみました。あえて差をつけないために同じデザインを使う先生もいれば、毎回デザインを変えてカラフルに見やすくする先生もいます。僕はデザインよりも、いかに子どもと保護者さんが喜ぶかを意識して書いています。
どのオモチャでどんな風に遊ぶときが一番楽しそうか、どの友達とどんな関係を築いているか、どんな会話のやり取りをしているか。子どもをしっかり観察していないと書けない内容を書くと、やはり保護者さんからの反応もいいですし、同僚の先生たちからも喜んでもらえます。
保護者に見せたあとのラーニングストーリーは、子ども一人一冊ずつ配られているポートフォリオと呼ばれるファイルに保存していきます。ポートフォリオは保育室においてあるので、いつでも、誰でも見る事ができるようになっています。子どもたちも、自分が大好きなことをしている写真が載ると、嬉しそうに友達に見せ合っています。
もっとサンプルが見たい方はlearning story sampleでWEB検索するといくつか出てきますので、参考にしてみてください。
英語の苦労
うちの保育園は、今は外国人の先生が増えましたが、オープニングから働いている初期メンバーでは僕以外、全員ニュージーランド人でした。そのため、自分の書いたラーニングストーリーが適切な英語表現かどうか、クラスのチームリーダーの先生にチェックしてもらうようにしました。
リーダーは快く毎回引き受けてくれるのですが、やはり他の先生には必要のない負担をかけていると思ったので、その分、内容を良くしようと意識することや、日本での保育の経験を活かして、貢献できることを探しました。ちなみに、保育園で日本の文化を教えることも喜ばれるので積極的に取り入れています。
では、日本の場合はどうでしょうか。
日本の保育園では、保育表(または児童表)というものを書きます。 これは、子どもの記録を個人個人でまとめたものという点ではラーニングストーリーと同じですが、あくまで先生間での情報共有のために書くものです。例えば、子どもが年少クラスから年中クラスに上がったときに、どんな子なのか先生が知るために、引き継ぎのために読む、業務連絡のようなものです。
保育表も、保護者の方が希望すれば見ることができると思います。しかし、僕が日本で働いた7年間で、見たいとおっしゃった保護者さんはいなかったですね。
以上、オセアニア独特の文化、ラーニングストーリーについてでした。
- Naoki Yajima
- 日本で7年保育士として働き、保育の修士号を取得した後、ニュージーランドに移住。
- オークランドの保育園で働いてもうすぐ2年です。