2022年、日本とNZは外交関係70周年を迎えます

　世界的なパンデミックが始まってから間もなく2年。来る4月末からの国境再開など、ようやく希望の光が見えてきました。2022年はどのような年になるのでしょうか。日本とニュージーランドの架け橋的存在であり、在留邦人の力強い心のよりどころである在オークランド日本国総領事館の濵田真一総領事に、新年の抱負をお話しいただきました。

デルタ株の出現で大打撃を受けた2021年

　私が着任したのは2020年6月末。当時、ニュージーランドは世界でも稀にみるコロナゼロ戦略の成功国でした。2020年末から2021年始もコロナフリーでごく普通の日常生活を送っておりましたから、まさか2021年にここまでコロナに翻弄されるとは想像もしていませんでした。

　当時の状況に鑑みれば致し方ないことですが、2月のスナップロックダウンにより天皇誕生日祝賀レセプションを直前で中止しなければならなかったこと、毎年恒例であるオークランド日本人会主催のJapan Dayを2022年に延期しなければならなかったことは本当に残念です。さらにデルタ株の出現が追い打ちをかけ、8月18日にレベル4のロックダウンがスタート。9月22日にレベル3に移行しましたが、オークランドでは結局ロックダウンが3か月以上も続き、大打撃となりました。

　こうした厳しい状況の中、在留邦人の皆様や日系ビジネスを応援しようと、日本政府の「海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業」制度を利用して、オークランド日本人会が「日系ビジネス・生活応援キャンペーン：ガンバレ日本！」を、また、オークランド日本経済懇談会（二水会）が日本食レストランをプロモートする「Japanese Food Fair」をそれぞれ実施し、多くの方々に参加いただいたことを嬉しく感じております。

東京オリンピック・パラリンピックの反響

　2021年の明るい話題といえば、東京オリンピック・パラリンピックが無観客とはいえ、開催されたことでしょう。開催前、日本では相当の感染者数が日々報告され、報道で開催を不安視する日本人の声を多く取り上げたこともあり、私自身もいろいろな方々から「日本は本当に開催できるのか」という質問を受けました。

　しかし、結果として無事に開催され、日本もニュージーランドも過去最高の成績を収めることができました。開催期間中、The Cloudに設けられたオリンピックファンゾーンには日本紹介コーナーも設置され、多くの日本人ボランティアの方々が活躍。そこを訪れたニュージーランドの方から「日本でオリンピックを開催してくれてありがとう」と声をかけていただいたとのエピソードも聞きました。東京オリンピック・パラリンピックは両国にとって思い出深いものになったと思います。

国境措置の緩和で直接交流の復活に期待

　2022年最大の関心事は、やはりコロナがどうなるかです。ニュージーランド政府が導入した信号機システムによりロックダウンという概念がなくなったため、ビジネスをはじめ、さまざまなアクティビティの計画が立てやすくなりました。

　4月末からは外国人の入国も順次認められるので、海外との交流が始まることを期待しています。オークランドは、世界有数の旅行ガイドブックを発行するLonely Planet社から「2022年に訪れるべき都市」の第1位に選ばれました。これまでの国境措置で一番影響を受けたのは、観光を含むホスピタリティ業界だと思いますので、この緩和を機に、世界中からたくさんの人にオークランドを訪れていただきたいですね。

　日本とニュージーランドの二国間交流も、政府要人の相互訪問のみならず、ビジネス、文化、地方自治体の各交流など、この2年間思うように進めることができなかった直接の人の交流が復活することに希望を持っています。

これまでと未来の二国間関係を考える1年にしたい

　2022年は日本・ニュージーランド外交関係樹立70周年。すなわち、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効に伴って開設された外交関係が70年という節目を迎えます。

　ウェリントンの日本大使館では記念イベントを予定しており、在オークランド総領事館も連携して盛り上げていきたいと考えています。2022年は在留邦人や日系企業、日本関係団体の皆様にご協力を仰ぎながら、これまでの二国間関係を振り返りつつ、さらなる未来へ向けた日本とニュージーランドの関係の在り方に想いを馳せる1年にしていきたいですね。