先人たちが築いてきた両国の絆をさらに強くできるように尽力します
2023年2月、在オークランド日本国総領事館に着任された太田代身生(おおたしろ・みお)首席領事。これまで主にヨーロッパと中南米の在外公館に勤務し、オセアニア勤務は初めてという首席領事に、ニュージーランドの印象や今後の抱負についてお話を伺いました。
長くたなびく白い雲と人が印象的な国
ニュージーランドに到着してまず印象に残ったのは、空と雲です。東京では見られない広い空に、雲がグングン動いている様子に圧倒されました。アオテアロア・ニュージーランド(長くたなびく白い雲)」という国名を聞いたとき、「雲は世界中にあるのに、なぜこのような国名になったのだろう?」と不思議に思っていましたが、実際に見た瞬間、その意味がわかりました。暇があれば雲を眺めています。近視が矯正されるという副次的効果も期待しています(笑)。
人も印象的でした。例えば、日本語を教えている小中学校・高等学校は全国で224校もあります(2021年国際交流基金調査)。英語話者にとって、ひらがな・カタカナ・漢字と3種類の文字に慣れ親しむことがまず大変だし、文法も違いますし。子供の頃から日本語や日本文化に興味を持って勉強してくれるのは嬉しい驚きでした。また、根気よく日本語教育に取り組んでおられる方に感謝の気持ちでいっぱいです。
また、総領事館の業務上、ビジネスパーソンと意見交換する機会も多いのですが、日本のビジネス慣習から交渉の進め方などもよく理解され、お互いに信頼関係を築いておられます。そのうえ、琉球方言や江戸時代の蘭学といった、専門的なテーマを追求している研究者がおられることにもびっくり。ニュージーランドの日本に対する興味と理解は、その広さと深さがすごいです。
領事、広報文化に加え、日本企業の支援にも力を注ぐ
日本とニュージーランド、とりわけオークランドにおいて、長い信頼関係があり、仕事がしやすいです。外交だけではなく、この国に暮らす邦人の方々が、これまでにさまざまな草の根活動を通して、両国の架け橋になってきたことが大きいと思います。あらためて敬意を表したいと思います。
ニュージーランドでは誰もがフラットな関係で、立場や年齢も関係なくファーストネームで呼び合い、気軽に話ができるのが素晴らしいです。日本でも、こうした習慣をもう少しビジネスの場に取り入れたらよいな、と思います。
総領事館として力を入れているのは、領事、広報文化、日本企業支援です。経済安全保障や食料安全保障、強靱なサプライチェーンの構築が重要となっている今日、ニュージーランドの魅力は増していると思います。また、再生可能エネルギーも豊富で、今後は環境問題においても重要な役割を担っていくと考えます。
ニュージーランドのビジネスで困り事や相談があれば、ご連絡いただければお話を伺います。日本企業支援は総領事館の重要な業務なので、できる限りお手伝いしたいと考えています。
未来のために日本・ニュージーランドの関係強化をサポート
昨2022年は日本・ニュージーランド外交関係樹立70周年という節目の年でした。そして今年2月にはナナイア・マフタ・ニュージーランド外務大臣が、外務省賓客として訪日。林大臣との会談など、両国間の関係強化について意見交換をされました。その際に議題の一つに上がったのが、太平洋島嶼国とも連携していくこと。日本・ニュージーランド・太平洋島嶼国との関係では、ニュージーランドは特別な絆を有しています。
自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を実現するうえでも、太平洋島嶼国出身の多いオークランドにおいても、連携していきたいです。
FIFA女子W杯などのイベントを通して文化交流
パンデミックが落ち着いて、直接交流の機会が増え、人の往来が再活性化する中、領事館も業務多忙で、嬉しい悲鳴を上げています。3月にはクライストチャーチでジャパン・フェスタ、4月はオークランドでニュージーランド版コミケのオーバーロードといったイベントもあり、大盛況でした。
また、今年はFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランドの開催が楽しみです。なでしこジャパンの活躍を期待しています。また、大会を通して対戦相手の国のことを知る機会になるとよいなと思います。
先日も大会前のイベントの一環として、出場各国の政府関係者やコミュニティ代表がイーデン・パークに集まり、互いの文化紹介を行いました。我が日本からは、ハエレ舞太鼓が響き渡りました! いろいろな国同士が交流して理解しあえるような大会にしたく、私たちも日本をアピールしていく予定です。
そのほか、総領事館では学校訪問、ファミリー向けイベント、月例映画会といったイベントも定期的に開催しています。ぜひ公式ウェブサイトやFacebookでチェックしてください!
在オークランド日本国総領事館