交流の再開・活性化をサポートし、未来につながる橋渡しの役割を担います

2023年6月、在オークランド日本国総領事館に着任された松居眞司（まつい・しんじ）総領事。これまでは外務省の国際協力局で国連関連の業務に携わってきた総領事に、ニュージーランドの印象や今後の活動方針についてお伺いしました。

元気で意欲にあふれた人々の応援団になりたい

外務省に入省してから、まずはアメリカ、その後は国連専門機関の仕事に携わり、ジュネーブ、ウィーンなどヨーロッパに赴任。直近はカナダ勤務をしていました。ニュージーランドへ足を踏み入れたのは今回が初めてですが、子供の頃から憧れの国でもありました。ニュージーランドをもともと「好き」という気持ちは持っていましたが、ここでさまざまな方々とお会いし、私自身もここでしかできない仕事や新しいチャレンジを通して、「大好き」になりたいと思っています。これからニュージーランドの魅力を知るのがとても楽しみです。

ニュージーランドに到着したのは6月15日ですが、その数カ月前から総領事館の職員たちが着任のための準備を整えてくれていたので、すぐにスムーズに仕事に取り掛かることができました。これから真冬だと聞きましたが、オークランドは私には他の勤務地より温暖で、お会いする方々も元気なのが印象的でした。ビジネス関連の方々もニュージーランドで勉強したいという学生たちも、ここでしかできないことに取り組んでいて、非常に意欲的です。私は皆様の応援団となって、橋渡しや活動のお手伝いができればと考えています。

在留邦人の安全確保を第一に、子供たちへの教育支援も行う

私の重要な業務は、第一にニュージーランドに暮らす邦人の皆様の安全を確保することです。私は911や311などの有事の担当経験があり、ある日突然思いもよらぬことが起こりうるという緊張感を常に持っています。当領事館が管轄するオークランド、ノースランド、ワイカト、ベイ・オブ・プレンティ、ルアペフ地区には1万人以上の在留邦人の方々がお住まいなので、必要な情報提供は迅速に行うよう、努めてまいります。

また、ビジネス支援のほか、次世代を担う若者たち・子供たちへのサポートにも注力します。教育や留学を通して子供たちに何が伝えられるのかを思案しているところです。例えば、私はこれまでSDGs達成についても関わってきましたが、ひとことでSGDsといっても今も胸に着けているバッジの示す17色の目標のように範囲が広く、その実現には何をどうするべきなのか、何がよりよい未来につながるのかがいまひとつわかりにくいですよね。

ニュージーランドは、ジェンダー平等はもちろん、ワーク・ライフ・バランス、再生エネルギー８割、ゼロ・ウェイストなどSDGs分野での先進国であるので、それらがなぜ地球に住む私たち全員にとって大切なのかについて子供たちに少しでも分かり易く伝えて自分なら何ができるか一緒に考えながら理解を促せたらと思います。ニュージーランドで学びたい日本人はもちろん、日本に関心があり、日本のことを勉強したいと考えているニュージーランドの人々が視野を広げて将来のキャリアを見つける支援ですね。

人流の再開を機に、両国の関係を強化したい

コロナ禍が落ち着き、人流が戻って世界が動き出しています。これまで動きたくても身動きができずにうずうずしていた人たちのエネルギーが放出されつつあるこのタイミングでニュージーランドに来ることができたのは嬉しいことです。

ニュージーランドと日本には40を超える姉妹都市・友好都市が存在します。着任前にオークランドと友好都市を締結している東京都品川区の森澤区長とお目にかかった際、「ぜひオークランドを訪れたい」とのお話をいただきました。また、埼玉県さいたま市はハミルトンと姉妹都市なのですが、パンデミックの影響で休止していた両都市の学校同士の交流を今年から再開するそうです。さらに、福岡市や別府市も1980年代から続いているラグビーや文化の交流を再スタートさせるようです。

FIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランドの開催も迫っており、今後はもっと行き来が増えるでしょう。総領事館としてもこれを盛り立てていますのでこうした機会に日本をアピールし、両国の関係強化のお手伝いに役立ちたいですね。持続可能な平和と繁栄の実現に貢献できるようお会いする方々と学び合い、また健康と安全第一で、仕事や大好きな自然や地理歴史を訪ねる旅と出会いを通じて新鮮なワークライフを楽しんでいきたいと思います。