ミートパイが国民食といえるニュージーランドでもちょっと珍しい、イギリスの定番料理ポークパイをご紹介します。
イギリス人が大好きな冷たいポークパイ
歴史的にイギリスとの結びつきが強かったニュージーランド。そのため、今もイギリス文化の影響が色濃く残っています。ローストやパイ、キッシュ、スコーンといったイギリス料理が好まれることもその一例。特にミートパイはニュージーランドの国民食といえる人気メニューで、ステーキ、ミンス&チーズ、タイチキンなど種類も様々。しかし、その中でイギリスでは一般的なのに、ニュージーランドでは意外と見ないものが「ポークパイ」。ほかのミートパイが熱々なのに対し、冷やしてサーブされるパイです。
イギリスでは「パイの王様」と称され、扱っていないスーパーは存在しないポピュラーなポークパイ。シェイクスピアの作品にも「ベイクドミート」という名で登場するほど古くから伝わるもので、お弁当、ピクニック、BBQ、バースデーパーティーなどあらゆるシーンで活躍します。
冷たいままいただく理由は、パイ生地の中のフィリングをゼリー状のアスピックが包み込んでいるから。ゼラチンのプルプル食感が楽しめることも、ポークパイの大きな魅力です。ニュージーランドでもイギリス系の精肉店やデリには置かれていることが多いので、見かけたらぜひ試してみましょう。
自宅でも作れるポークパイのレシピはこちら!
ポークパイは伝統的なイギリスの家庭料理で、自宅でも作ることができます。手間と時間はかかりますが、手順は極めて簡単。大き目のパイ型で作って冷蔵庫に入れておけば、食べたいときにサッと切ってランチ、おつまみ、ポットラックなどいろいろ重宝すること間違いなし。レシピは以下の通りです。
材料(直径約20センチのパイ型1個分)
パイ生地
※市販のパイシートで代用も可能
- 薄力粉 300g
- ラード 150g
- 水 120ml
- 卵 1個
- 塩 少々
フィリング
- 豚肉(肩肉あるいは赤身ブロック) 300g
- 生ベーコン 2~3枚
※上記の豚肉をミンスで代用も可能 - 玉ねぎ 1個
- リンゴ ½個
- ハーブやスパイス(セージ、ローズマリー、ナツメグなどお好みで)適量
- 塩・胡椒 少々
アスピック
- 水 150ml
- 豚肉の骨
- セロリやパクチーなど香味野菜
- 好みのハーブ
- 塩・胡椒
- ゼラチン
分量外
- 卵1個(艶出し用)
1.パイ生地作り
ポークパイに使うパイ生地は、一般的なショートクラストペイストリー(薄力粉やバター、卵黄、冷水で作る生地)ではなく、ラードやお湯から作るホットウォータークラストペイストリーです。時間があれば手作りしたほうがおいしくできますが、面倒な場合は市販のパイ生地を使いましょう。
パイ生地を作る場合は
- 小鍋に水とラードを入れ、沸騰させてラードを完全に溶かす。
- ボウルに薄力粉と卵を入れ、(A)を加えて混ぜる。
- 生地が滑らかにまとまったらホイルに包み、冷蔵庫で30分程度休める。
2.フィリング作り
ポークパイの肉はブロック肉を細かく刻んで作ります。フードプロセッサーを使ってもOKです。あまり細かくしすぎないほうが肉の食感が楽しめておいしいですが、この過程が面倒な場合は豚ひき肉(粗目のミンチがおすすめ)を利用しましょう。
- ブロック肉、ベーコンを粗みじん切りにする。
- 玉ねぎ、リンゴをみじん切りにする。
- ボウルに(A)と(B)を入れ、卵、ハーブ、スパイス、塩、胡椒を加えてしっかり混ぜる。
- 少し粘りが出るまで練ったらラップをかけて冷蔵庫で30分程度休ませる。
3.オーブンで焼く
- パイ生地を冷蔵庫から取り出し、綿棒で伸ばす。
- 型にラードを薄く塗り、生地(全体の2/3程度)をはってフィリングを詰める。
- 残りの生地(1/3程度)で蓋をし、中央に丸い穴をあける。
- 生地の表面に艶出し用の卵黄を塗る。
- 丸い穴が閉じないよう筒状にしたアルミホイルを刺しておく。
- 210℃に温めたオーブンで約30分焼き、180℃に下げてさらに1時間焼く。
- 焼きあがったらオーブンから出し、そのまま冷やす。
4.アスピックを加える
- 鍋にゼラチン以外の材料を入れて火にかけ、スープを作る。
- スープができたらゼラチンを入れて溶かす。
- パイの穴から(B)を注ぎ込み、冷蔵庫で一晩冷やす。
アスピックを作る際は沸騰させないように注意しましょう。材料が揃わない場合はリンゴジュース(150ml)に粒状のチキンスープの素を混ぜたもので代用可能です。ゼラチンは必ず用意しましょう。