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第3回 タウランガでしか飲めない手作りの味

『地元の人に聞く!タウランガ、ベイ・オブ・プレンティの魅力』の記事一覧へ

広々とした庭を眺めながら、美味しいお料理とワインが頂ける有名ワイナリーは、誰もが訪れたいタウランガの観光名所の一つです。でもここでは観光ガイドには絶対に載ることのない、地元の一部の人だけが知る、shed(倉庫)で味わう手作りの地サイダーと地ビールに焦点を当てて紹介します。

たどり着くまで一苦労の、市内中心部からは離れた所に潜んでいるこれらのスポット。だからこそ、本当に好きな人だけが集まり、こだわりの一杯を飲みながら会話を弾ませる面白い場所でもあるのです。

O Factorie内観

ワイン職人が作る繊細な微発泡サイダー

ニュージーランドでも最近ではサイダーの人気が急激に高まってきているそうです。タウランガ市内から車で15分ほどの町Te Punaの、海を見下ろす小高い丘の上にある「O Factorie」の果樹園では、約20種のりんごが大切に育てられています。オーナー夫妻のSimonさんとRowenaさんは、そのりんごとワイカト産のりんごを合わせてシードル(りんご酒)を、同じくワイカト産の梨のみを使ってペリー(洋梨酒)を、同敷地内で作っています。

お二人は西オーストラリアのワイン名産地マーガレットリバーでワイン作りを学びました。「食とワインを愛するたくさんのワイン職人達と出会い、毎日みんなで色々な飲み物を持ち寄って、遅くまで語り合ったわ。みんなワイン職人なのに、なぜか最後にはワインではなくてサイダーを飲んでいたの。それがサイダーに強い興味を持ったきっかけよ」とRowenaさん。「スパイス等の配分はもちろんだけど、発泡度も舌触りに影響するから工夫しているわ」という言葉からこだわりが伝わります。ワイン作りの技術と豊富な知識を持つお二人が作るサイダーは、スッキリしているのに深みがあり、とても繊細です。

O Factorieプロダクト

通常サイダーはビールのように小瓶に入っていますが、「Resident Hawk」と「Perfect Pear」は750mlのフルボトル。この二つの商品は「樽の中で発酵させたワンランク上のサイダーです。シャンパン感覚で楽しんで欲しい」とRowenaさんが語る自信作です。他のサイダーと飲み比べてみると違いがよくわかります。木〜日曜日にはお二人にお話をうかがいながら倉庫でテイスティングができます。製造工程なども詳しく説明してくれますよ。

長年の夢が詰まった地ビール

ビールサーバー

Craigさんは若い時からビール作りに魅せられ、長い間趣味で作り続けてきました。奥様のCatherineさんの助けのもとに、2012年にそれがついに形となり、その味に魅せられた人々がボトルを持ってお二人のもとに足繁く通うようになりました。それがタウランガの外れ、Pyes Pa Rdから一本入った路地にある「Fitzpatrick’s Brewing」です。アロマティックで女性に人気のウィットビア(アルコール分5.1%)からコクのあるポーター(アルコール分7.8%)まで、常時5〜7種類のオリジナル地ビールが揃っています。

Fitzpatrick’s Brewingの地ビールが飲めるのは金曜日のテイスティング日とタウランガ市内の一部のバーでのみ。「ビールはできたてが一番です。ボトルに詰めたビールは開封しなければ3か月くらいは持ちますが、年単位の賞味期限を持つ瓶詰めされた市販のビールに比べ、味に変化が出やすいので、必ず冷蔵保存しなるべく早いうちにお召し上がりください」とCatherineさん。地ビールブームの先駆けウェリントンが起こした波はタウランガにも確実に届いています。

ワイン、食事、雰囲気すべてにおいて大満足のワイナリーランチ

飲むだけでなく食事も一緒に楽しみたいという方は、タウランガ郊外Bethlehemにある「Mills Reef」へ是非足を運んでみてください。Mills Reefは葡萄の名産地ホークス・ベイの中でも特に評価の高いGimblett Gravelsをはじめとする国内各所に葡萄園を持つ、大規模なワイナリーです。広大な敷地には年間750トンの葡萄を加工する工場の他、テイスティングルーム、オープンエアのレストランがあり、老舗の味をしっかりと堪能することができます。

テイスティングプラターとワイン

写真は鴨とピスタチオのテリーヌ、白豆とフェタチーズのペストなど、ワインがすすむおつまみを盛り合わせたテイスティングプラター(2名用)と4種類のワインが少しずつ飲み比べできるパドル。

タウランガには「この町の食文化を発展させたい!」という野望を持つエネルギッシュな人々が点在していて、静かにでも確実に、今そのムーブメントを起こそうとしています。今回はその一端である、手作りの味とそれに関わる方々を紹介しました。

May

教員、イベントコーディネーター、翻訳者、フリーライター、2児の母。
イベント、アート、教育、食、人を通してニュージーランドを知るべく日々探索中。