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第6回 日本からの薬の持ち込みなど

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日本からNZへ移住される方、長期滞在される方がよく心配されるのは、いつも使っている薬やサプルメント、コンタクトレンズなどが、NZで入手できるかということ。
今回は、それぞれの持ち込みや日本からの郵送についての注意点と、持ち込まない場合に、どのようにそれらをNZで入手できるかを説明します。

処方箋薬の持ち込み

安心してください。
日本の医者から処方された薬は、ほとんど問題なく持ち込めます。

ただ幾つか決まりがあります。

自分が使う薬を持ち込んだり、ご家族が使う薬を持ち込むのは許可されています。通常は3ヶ月分まで(経口避妊剤の場合は6ヶ月分まで)です。
ただ、モルヒネなどの薬はこちらではControlled drugと呼ばれ、1ヶ月分までしか持ち込めません。
家族以外の人のための薬の持ち込みや、他人に売るために薬を持ち込むことはできません。
(例えば家族のための薬は税関で申告することになるので、対応する人によっては書類が完備していれば許してくれるのかもしれません。私は試したことがないのでわかりません。)

2019年1月からは、3ヶ月分までの自分の薬は税関で申告する必要は無くなりました。
それ以外の場合は、ニュージーランド入国時の申告書に記入して、税関で申告してください。

基本的には、ニュージーランド入国時の申告書に記入して、税関で申告してください。

この申告書と共に用意しておくのは、

1. 英語で書かれた、日本の医師からの処方箋のコピーか手紙

(家族のためのものであれば、その旨、誰用の薬で誰がニュージーランドに持ち込むかが書いてあるもの)

私のブログに手紙のテンプレートが載せてありますので、必要な方は参照してください。
 https://nzdoctor.net/nz-medical-info/templates

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2. 薬が処方された時の入れ物で、『薬の正式名称』『用量』など、処方箋にある情報が書いてあるもの

薬が箱入りで処方されていたら、その箱ごと持ってきてください。
(日本語で名前など書いてあるでしょうけれど、わざわざ英語で書き直す必要はないと思います。というか手書きであると却って”怪しい”でしょう。)

上に述べた以上の量の薬を持ち込もうとした場合は、書類など揃っていても税関で没収される可能性を覚悟しておいてください。

先ほどControl drugについて触れましたが、こちらではcontrol drugとなっていても日本では麻薬に指定されていないものがあります。
例えば、Pseudoephedrine (日本ではプソイドエフェドリンと呼ばれているようですが、実際の英語の読み方はスードエフェドリンという感じです)は、日本で普通に処方されている抗アレルギー剤や風邪薬(ディ○グラとかベン○ブ○ックとか)に含まれていますが、ニュージーランドではcontrol drug になっていますから注意が必要です。

他にも、漢方の薬は成分がわかりにくいものがあるので、気をつけてください。

先に述べたように、英語で書かれた医師からの処方箋や手紙があれば、control drugでも1ヶ月分は持ち込み可能です。
調べてもcontrol drugかどうかわからないけれど、どうしても必要な薬は、手紙を持参でとりあえず1ヶ月分に限って持ち込む。
そして、ニュージーランドのGPと相談する、というのも一案です。

医薬品の持ち込みの詳細については、厚生省 (external link)のメッドセーフ (external link)のウェブサイト(英語)を参照するか、同省へメール又は電話(+64-9-580-9141)で問い合わせてください。

日本から処方箋薬を送ってもらう事はできるか

基本的には、日本の医師に処方された薬を、日本のご家族に送ってもらう事はできません。
どうしてもニュージーランドにはない薬で、ご自分の病気のために日本から送ってもらわないといけない場合は、ニュージーランドの医師に、「ニュージーランドでは手に入らない薬で、他に代替薬がない」旨を書面で書いてもらい、ご自分で税関にあらかじめこの書類を提出すれば、3ヶ月分までは送ってもらえます。
ご自分で持ち込む場合とは異なり、日本の医師の英語の手紙があっても、通用しません。

もしも日本の家族から処方箋薬を送ってもらい、税関で差し押さえになった場合は、GPに行って、必要書類に記入、署名してもらい税関に提出すれば、返してもらえる可能性はあります。

GPに行った際に、その薬がニュージーランドで処方可能かどうか、他の代替薬があるか、GPに訊いておくと良いと思います。

オンラインショップで処方箋薬を買って、ニュージーランドへ送ってもらうことはできるか

上記の場合と同じで、ニュージーランドの医師が、あなたがその薬を輸入する必要があることを説明した書類を書いてくれれば、3ヶ月分までは可能です。

私の個人的意見としては、もしもニュージーランドに長期(4ヶ月以上)に滞在する予定なら、必要最低限の薬を持ち込み、こちらのGPを受診して、同じ薬か代替薬を処方してもらうのが、一番良いと思います。

処方箋のいらない、薬局で買えるサプルメントなどの持ち込みは? オンラインで買うことはできるか?

持ち込み

これも自分用か、家族用のものであれば許されています。

期間の決まり(3ヶ月とか6ヶ月とか)はMedsafeのウェブサイトには見つかりませんでしたが、あまり大量に持ち込んで、レントゲンで多量の錠剤が見つかったら、検疫で止められて調べられるなんて事もあり得ます。

ただのビタミン剤とかなら、没収されることはないでしょうが、こんなことで余分な時間を取られるよりも、ニュージーランドで似たようなものを購入した方がずっと手軽ですし、値段もそんなに変わらないでしょう。

一つ気をつけておいていただきたいのは、日本では処方箋なして薬局で買える薬品と思っていても、ニュージーランドでは処方箋が必要な薬であるとみなされる可能性もあるということです。
MedsafeのウェブサイトのClassification of medicines in New Zealandであらかじめ調べてください。

オンラインでの購入

オンラインでサプルメントを買うことも可能です。
これも持ち込むサイト同様で、ニュージーランドでは処方箋薬とみなされているものでないか、をチェックすることが大切です。
疑問であれば上記のウェブサイト調べてください。

使い捨てコンタクトレンズなどの持ち込みや輸入は?

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コンタクトレンズは、持ち込んでも特に問題ないようです。
ただし明らかに他人に売るのだと思われるような大量のコンタクトレンズがスーツケースに入っているのが見つかったら、税関で止められるかもしれません。

コンタクトレンズも日本での処方の詳細があれば(レンズの度数など)ニュージーランドで簡単に買うことができますし、日本のコンタクトレンズのサイトでも、NZまで送ってくれるところもあるようです。

日本の法律では、日本帰国時に持ち帰れるものの量に規制があり、日本から持ち込んだ薬やコンタクトレンズなどを全部使わなかった場合、それを持ち帰ってくるのに、規制があるとのことです。
日本だとスーツケースをレントゲンに通すこともしないので、持ち帰って日本の税関で何かを言われる可能性は非常に低いと思いますが、参考までに。

まとめ

  1. 日本から処方薬を持ち込むときは、処方医に英語で手紙を書いてもらい、処方されたままの箱に入れて持ってきましょう。
    普通の薬は3ヶ月、経口避妊薬は6ヶ月、モルヒネなどは1ヶ月まで持ち込めます。
    税関で申告するのを忘れずに。
  2. 郵送による輸入も、処方箋薬は同じような期間の規制があります。これにはNZの医者の処方箋または手紙が必要です。
  3. ニュージーランドで処方薬とされていないサプルメントなどは持ち込みや輸入ができますが、Medsafeのウェブサイトで、ニュージーランドでは処方薬となっていないかを確認してください。
  4. ご自分の使っている薬の成分を英語で紙に書いて、ニュージーランドの薬局で訊けば、同じようなものがニュージーランドにあるか教えてくれるでしょう。

もちろん処方薬であれば、GPを受診して訊いていただければ、同じ薬か代替薬を処方してくれます。

 

次回は、ニュージーランドでの妊娠・出産を取り上げます。

野田のりこ (Noriko Noda)
 
日本で外科医として勤務後、2002年にNZへ移住。
NZでも医師免許を取得。現在General Practice 専門医として働く。
音楽やクラフトが趣味。
 
ブログ
https://nzdoctor.net