ニュージーランドの留学や移住、起業、旅行、就職など総合情報サイト

第5回 英語ができない・苦手な方へ

『日本人医師の目からみた、ニュージーランドの医療』の記事一覧へ

お医者さんに行って、言葉が通じないのはストレスが溜まりますよね。
言葉の壁は、良い医療を受ける妨げとなり得ます。
今回は、英語の苦手な方に捧げる5つの戦略です。

05-1

GPに相談したい問題を一つに絞る。

通常のGPのコンサルテーションの時間は15分です。
言葉に問題のない患者さんでも、15分で3つ以上の問題について話し合い、所見を取り、計画を立てるのは非常に難しいです。
言葉が通じないと、意思の疎通に2倍近くの時間がかかりますので、とても複数の問題を15分でカバーできないことは、お分かりになると思います。

1回にGPと話し合う問題は1つ、多くても2つまでにしましょう。
それ以上問題がある場合は、ダブルアポイントメント(30分のアポイントメント)をとるか(通常は2倍近くの診療費が請求されます)、日を改めて受診する様にしましょう。

英語と日本語が使える人(できれば家族)にあらかじめ頼んで、診療中に携帯電話を使って通訳してもらう、もしくはその人に診察についてきてもらう

あらかじめ診察の前に、英語ができる家族に自分の問題を説明しておいて、その人に通訳をお願いできれば言うことなしです。
携帯電話を使えば、通訳をする人は、クリニックに来て待っている必要はないので、通訳する人の時間の節約になります。

私が家族を通訳として好むのは、患者さんに病状の説明や今後の計画を伝える際に、その通訳をしてくれた家族にも説明することになるので、特に高齢の患者さんの場合は、次の計画がどのようになっているのかを、いちいち紙に書いたりしなくても済むからです。
(もちろん、患者さんが家族には知って欲しくない医学的問題もあると思うので、いつも家族に通訳してもらうというわけには行かないかもしれませんね。)

無料の通訳サービスの電話番号を控えて行く

ニュージーランド には無料の医療通訳サービスがあります。
以下に、みなさんのお住いの地域から使える、無料の通訳電話サービスを載せておきます。
その電話番号をGPが探すこともできますが、自分で医療通訳サービスの電話番号を控えていけば時間節約になります。

また、GP受診を予約する時、または病院の外来受診の前に「どうしても日本語と英語ができる通訳を都合できない」ことを、あらかじめ伝えておくと良いです。

1. Language line

上のリンクを開くと、どのような団体がLanguage lineと契約しているかわかります。
GPにかかる時は、自分が加入しているPrimary Health Organization(PHO)をリストの中に見つけるか、自分の入っているPHOが見つからない時は地域のDistrict Health Board  (DHB)を見つけてください。

05-2

2.各地域の通訳サービス

このHealth Navigatorの記事によると、Language Line以外にもAuckland DHB、Counties Manukau DHB、Waitemata Aucklandには独自の通訳サービスがあるようです。
病院に入院した時などは、自分の言葉でいろいろ相談できるのは、ありがたいですよね。

英語ができる人に、自分の問題の詳細をあらかじめ書いておいてもらう

この方法は、どうしてもご自分で通訳が用意できない時に役に立ちます。
どんな症状がいつからあり、何が心配で、何をしてもらいたいと思っているか、などを書いてGPに渡してもらえると、かなり助かります。

まあまあ英語が理解できる方なら、私はゆっくり英語で説明しつつ、Google translateを使って理解しているかを確認します。(上手に使えば本当にGoogleはありがたいです。笑)

コミュニケーションに問題があるときは、私は、最後に英語で計画を書いて患者さんに渡します。
英語を聞いたり話したりするのは難しいけれど、英語を読めば理解できる患者さんには、御それを読んで納得してもらいます。

また、患者さんの理解度が疑問な場合は、英語がわかる家族の人にその紙を見せるように患者さんにお願いし、本日の診療の結果、次の計画がどうなのかを患者さんに完全に理解してもらいます。

わからないことは質問する

医者の説明がわからないのは、恥ずかしいことではありません。理解できなかったら、ちゃんと納得できるまで訊いてくださいね。
何度も訊きなおすのは、フラストレーションがたまると思いますが、わかったふりをしても誰の得にもなりません。

最後に

ニュージーランドでは、人種に関わりなく、すべての人が同じレベルの医療が受けられるように努力しており、それが国の医療の目標の中に挙げられています。

ニュージーランドの医療従事者はその目的を達成するよう努力しているので、患者さんとなる皆さんも、できるだけの努力をしていただき、みんなで医療の質を上げていけたら素晴らしいことだと思います。

 

次回は、日本から薬などを持ち込みたいと言う方のための、お役立ち情報です。

野田のりこ (Noriko Noda)
 
日本で外科医として勤務後、2002年にNZへ移住。
NZでも医師免許を取得。現在General Practice 専門医として働く。
音楽やクラフトが趣味。
 
ブログ
https://nzdoctor.net