日本人の、特に男性であれば、子供の頃にバットとボールで遊んだ記憶があるのではないでしょうか?。私が子供の頃はまだまだプロ野球の人気が高く、シーズン中は毎晩プロ野球の試合をテレビ中継していました。田舎だったので、巨人戦しか放映してませんでしたが・・・。忘れもしない小学校3年生の時、世界のホームラン王、王貞治選手が引退を表明。子供心に初めて味わう寂しさ、喪失感でした。
ここニュージーランドに来ても元来の野球好きは変わらず、長男に野球をさせたり、自分も草野球チームに入ったりしていました。3年ほど前、ひょんなことから、元プロ野球選手で千葉ロッテ等で大活躍され、引退後の新天地にNZを選ばれた清水直行氏のお手伝いをするようになりました。
ご存知のように、NZで野球はマイナースポーツです。でも、最近は代表チームが国際試合に出場したり、少しづつですが、競技人口も増えています。もともとソフトボール(特に男子)は世界ランキング一位の実力なので、素地は十分あると見ています。また清水氏のご尽力で、野球のNZ代表チームの一員であるBoss選手(マオリ系)が、この度日本の独立リーグ、新潟アルビレックスと契約し、NZ人初の日本でプレーするプロ野球選手が誕生しました。いきなり4番・指名打者で試合に出ているようです。これからの活躍を期待したいところです。
野球はルールが複雑で約束事も多い、とても戦略的なスポーツです。投手が投げるボールの球種やコースは勿論のこと、守っている野手も状況によってポジションを変えたりします。各選手の役割分担が非常に明確で、基本的に全ての選手が打席に立つことから、チームで戦う団体戦という側面が強くあります。NZで野球を普及させることにより、NZの子供たちに「戦略性」であるとか、「協調性・チームワーク」といったことを学んで欲しいと思うのです。一般的に体の大きくない日本人が野球の世界ランキング1位に君臨しているのには、理由があるはず。そこを、清水氏にNZの子供たちへ伝えていただきたいのです。
しばらく前、日本人の有名なラグビー選手がオーストラリアのチームと契約したのはいいけれど、なかなか試合に出してもらえない、というニュースがありましたね。能力があるのに、コミュニケーションの問題で実力を発揮出来ないのは、実に残念ですね。例えば日本の野球少年をNZに留学させて、野球だけではなく英語の能力も身につけさせる、というのも良いのではないかと思います。NZの野球少年にとっても刺激になりますよね。将来、NZに留学経験のある日本人メジャーリーガーが、英語でインタビューに受け答えする・・・。素敵だと思いませんか?。
また、野球の国際大会であるWBC (World Baseball Classics)は、代表チームの国籍条件が比較的緩やかなのが特徴です。例えば日本人でも、NZの永住権があればNZ代表チームに入ることが可能です。昨年大活躍したラグビーの日本代表チームに複数のNZ人が入っていたように、NZの野球代表チームに日本人が入って、旋風を巻き起こす・・・。これも個人的にはアリだと思うのです。
野球を通して日本とNZを繋ぐことが、ひいては両国の子供たちの教育にも大きく寄与するのではないかと考えています。微力ながら、今後も清水氏のお手伝いを通して、お役に立てればと考えています。
AICアクティング・エクゼクティブ・ディレクター 中村敬志
1970年、島根県生まれ。 13年間の地方銀行勤務を経て、広島県に本部を置く教育関連企業に転職。 2006年より、Auckland International College(AIC)に勤務。