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第3回 日本の教育について感じること。

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学校は学力さえ伸びればいいのか?

先日家内と、日本のテレビを見ていた時の一場面です。日本のある有名進学校についての特集だったのですが、その学校は地方にあるため、全寮制です。その寮では、寮生の服を洗濯して、たたんで、それぞれの寮生毎に分類して返してくれるそうなのです。その寮母さんは「生徒は洗濯をする時間を削ってでも勉強して欲しい。」というお話をされていました。皆さん、これってどう思われますか?。個人的感想ですが「うーん・・・」と考え込んでいました。

この学校はだれでも知っている、有名進学校です。毎年国内の有名大学に何人も合格者を出しています。立派な進学実績があるのは解るのですが、寮生に洗濯もさせないのは、どうなんだろう・・・。学校で伸ばすべき部分は、学力だけではないと思います。友達や教師との関係であったり、倫理観であったり、社会性であったり、生活力であったり・・・。人間力、という言葉で表現できるのでしょうか?。寮での生活は、そのような力を身につけるのに素晴らしい機会だと思います。この話を聞いて、少しもったいないなあ、と感じました。

前回のコラムで、AICが力を入れているのは大学の合格実績であるという話をしました。では、AICの生徒は勉強ばかりしているのでしょうか?。決してそうではありません。もともとIBプログラムでは何らかの課外活動に従事することが義務付けられています。スポーツであったり、ボランティア活動であったり・・・。これはAICに限った話ではなく、NZを含む欧米の学校では、特に課外活動に力を入れています。そして、よく勉強して学力の高い生徒は、課外活動にも積極的に参加し、立派な成果を残しています。日本はガリ勉君ばかり、と決め付けるのは良くないと思うのですが、冒頭のような話を耳にすると、欧米のスタイルとの違いを感じずにはいられません。

昨今は日本も入試改革に取り組もうとしているので、多少様子は変わっているようですが、例えば大学が受験者に求める能力の尺度も違います。例えば、米国にも日本にも大学受験に必要な共通試験があります。米国はSAT、日本はセンター試験ですね。例えば、共通試験で満点を取った生徒を日本の大学と米国の大学がどう見るのか?。恐らく日本では、「おお! 満点! すごい! 合格!。」となるのだと思いますが、米国の場合「ん?この生徒は共通試験で満点を取るためだけに勉強していたのではないか?。大丈夫か?」と思うのではないかと・・・。同じ大学入試でも、各国の大学で求められる人材には違いがあるのですね。日本の大学が「学力以外」の尺度を使って合否を判定する推薦入試等をより多く取り入れる流れになっていることは良いことではないかと思います。

私は何も、日本の教育を全面的に否定している訳ではありません。しかし、時代は動いています。ありきたりの言葉になってしまいますが、「グローバル化」はどんどん進んでいます。現在の日本の教育が果たして時代に即しているのか、見直すべき点は多いように思います。

AICアクティング・エクゼクティブ・ディレクター 中村敬志

1970年、島根県生まれ。 13年間の地方銀行勤務を経て、広島県に本部を置く教育関連企業に転職。 2006年より、Auckland International College(AIC)に勤務。

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