世界各国に多くの学校がありますが、教えているプログラムには違いが有ります。例えば数学は数学、化学は化学ではあっても、教える内容、教え方は一様ではありません。例えば日本では文部科学省による学習指導要領に沿って、授業が進められますよね。では、世界の主要なプログラムにはどのようなものがあるのでしょうか?。今回のコラムでは、特に高等学校レベルのプログラムについて取り上げたいと思います。
ここニュージーランドの学校で主に使われているのは、ニュージーランド独自のプログラム、NCEA(National Certificate of Educational Achievement)です。例えばNCEAレベル3は、高校卒業程度に相当しますね。その他に、AICが採用している国際バカロレア(IB)、英国発祥のケンブリッジ、アメリカのAP(Advanced program)などがあります。現在はここニュージーランドにも、NCEAだけでなく、IBやケンブリッジをプログラムとして採用している学校が増えてきています。これらのプログラムで特徴的なのは、最後に試験があることです。日本人の感覚からすると、高校を無事に卒業する、イコール大学に入れる、と感じるのですが、欧米式プログラムはそう甘くないのです。
これらの欧米式プログラムの特徴を敢えて挙げれば、「より考える力を求める」ということではないかと思います。例えば日本の教育では、「1+1=?」と出題されることが多いように思います。答えは「2」ですよね。しかし、欧米式プログラムの場合「?+?=2」と出題される傾向があると思います。これだと、答えは一つではありませんね。子供の創造性、考える力を育てるのに、どちらが有効でしょうか?
これは私の勝手な思いなのですが、大人になって社会人となった時に必要な能力は、「考える力」と「判断力」だと思います。もちろん、最低限の常識や知識を持ち合わせていることは当然としても、「知っているか、知らないか」はあまり重要ではないと思うのです。インターネットが普及した今の時代だと尚更です。知らなければ調べれば済む話ですし、周りの人に尋ねてもいい。集めた情報を取捨選択し、分析をして答えを出す、もしくは正しいと思う選択をする、これが大切な能力だと思います。
欧米式のプログラムも一長一短あります。例えばIBは理系・文系科目を両方バランス良く取る必要が有り、全ての分野で高い能力が必要となります。また、論文や課外活動も必要とされることから、一般的に勉学に多くの時間を割く必要があり、最もお手ごわいプログラムだと言えると思います。ただ、一部の大学ではIBの成績が大学の単位に移行出来るケースがあり、長い目で見れば有利と言えます。対してケンブリッジは履修しなければならない科目数が少なく、自分の得意分野に特化することが可能となります。
NCEAもよく出来たプログラムではあると思いますが、特にNew Zealand以外の大学に進学しようと思うと、少し不利な面があるかもしれません。やはり世界的に見るとIBやケンブリッジの方が通りがよく、同じ「Excellent」でも、IBやケンブリッジの高得点とどう違うのかを大学側が判断するのは中々難しい、という点はあるように思います。
子供の能力、得意分野、伸ばしたい分野等を考えた上で、プログラムを選択する、学校を選択する必要があると思います。
AICアクティング・エクゼクティブ・ディレクター 中村敬志
1970年、島根県生まれ。 13年間の地方銀行勤務を経て、広島県に本部を置く教育関連企業に転職。 2006年より、Auckland International College(AIC)に勤務。