今回は知る人ぞ知るパワースポットでも有名なワイポウアの森をご紹介します!
『Waipoua Kauri Forest』は現在ニュージーランドの環境保護局であるDepartment of Conservation『DOC』によって保護されています。この森はオークランド市内中心部から北へ240km、所要時間はまっすぐNon-Stopで行っても約3時間半かかる場所にあり、少し遠いですが近くまで行くとニュージーランドらしい木々が生い茂る原生林へと入って行きます。
一旦森の中に足を踏み入れると固有の植物である『マヌカ』の木や、絶滅した地上最大の飛べない鳥モアと関連のある木『ホロエカ/ランスウッド』、『シルバーファーン』を始めとする数々のシダ植物、またこの森をホームランドにしているジュラ紀から生息する世界最古の巨木『カウリ』の木々が出迎えてくれます。
森林浴をしながらのトレッキング好きの人にはたまらないコースとなっており、全てのトラックを歩いてカウリの木々を見て回ると3時間以上のトレッキングが楽しめます。
Waipoua Kauri Forest
元々は先住民マオリ族の方々が生活の場としていた森でした。彼らは森はもちろん、風や海、空、大地などは生きとし生けるものとしてとても大切にしてきました。しかしヨーロッパ人の入植後、ワイポウアの森も農場につくり変えるため一部焼き払われるなどされてきました。
そのためニュージーランド固有種の鳥達も住処を失い絶滅へと追いやられてきましたが、ワイポウアの森は保護のおかげもあり現在はカウリの木以外には絶滅危惧種でもある美しい青色の羽を持ちニュージーランド紙幣$50札の裏にもプリントされているKokakoや国鳥のNorth Island Kiwi Birdも生息しています。
そもそもカウリの木って何!?
とにかく珍しい木!
カウリの木はニュージーランドでしか見る事が出来ない上に、北島の暖かい気候で、ある程度の降水量が保たれている場所にしか生息出来ないためなかなか見る事ができません。北島だとオークランドの西の地域や、コロマンデル方面、ワイポウア方面で見る事が出来ます。
その中でもワイポウアの森にはニュージーランドで一番古い樹齢2,500年を超えるものや、一番容積の大きな木があるなど息を飲む程の巨木に出会えるのが見どころとなっています。
とにかく堅くて丈夫!
珍しいだけではなく画鋲が刺さらない程の堅さと丈夫さでも有名です。この木は成長スピードが遅く、木にもよりますが普通の松の木が100年で幹周り5mくらいに対し、カウリの木は100年経っても5歳の男の子が腕で輪っかを作ったくらいの太さにしかならないのです。
年輪を見ても年輪と年輪の幅はおよそ1mmか2mm程度。それだけ成長スピードが遅いため密度が高く、触った感じがコンクリートの様な堅さとなります。
防衛本能を持つ!
また面白いのが、カウリの木は自分が持つ防衛本能を使って自分自身を守っているのです。幹の表面にコケ植物やツル植物がくっつき、栄養分を取られそうになると自分で幹をはがしていき寄生植物を落としていくのです!
また生長と共に地面に近い下の方の枝から徐々に落としていくことにより、無駄な栄養分を使って栄養失調にならないようにコントロールしています。
森の神!
成長スピードが遅いため土地の肥えた場所や木々が生い茂る場所では成長段階の栄養取り合戦に負けてしまいます。そのため痩せこけた土地で命が芽吹くと時間をかけてゆっくりと成長していきます。
ある程度の大きさになると地表には背丈の低い木々が育つ様になり、もっと成長して巨木となり地表に影を作るくらいになると徐々にコケ植物などが生えてきます。そうしていくうちにどんどん森が育っていくのです。
森を作る木という事でカウリの木は森の神と言われています。映画『アバター』の中に出て来る、皆が祈りを捧げる巨木がカウリの木がモデルにされていると言われていますがそれも納得出来てしまいますね。
トレッキングコース
ワイポウアの森に行くのは国道1号線をひたすらまっすぐ北に1時間20分程進んで行くと12号線に入るDargavilleの看板が見えて来ます。そのまま12号線に入ってひらすらまっすぐ行くだけでワイポウアに到着します。
森の中に入ってしばらく蛇行した道を行くと『Kauri Walks』の看板が見えるのでそこの駐車場に車を停めたらトレッキングコースの入り口がすぐ側にあります。森には7つ以上のトレッキングコースがありますが、その中でも『Kauri Walks』オススメ2つのコースとメインのカウリの木への道順をご案内します!!
Tane Mahuta Track / タネ・マフタ
タネ・マフタは樹齢およそ2,300年程で『森の主』と言われており、パワースポットとしても有名です!何か悩み事があったり、落ち込んだり、新しい事に挑戦する際や、運気を上げたい場合、誰かに後押しして欲しい時などに訪れると必ず良い方向に導いてくれる程のパワーを秘めています。
主の前に立つだけで心洗われ、パワーが溢れてくる様な感じがします。タネ・マフタに会うには駐車場から200mの木の板で作られた道を進むだけです!幹周り13.77m、高さ51.20mの巨木を是非拝みに訪れてパワー吸収してください。
Te Matua Ngahere Walk / テ・マツアナヘレ
この木は『Kauri Walks』の看板から駐車場に入り、そこから歩いて片道20分程度のところにある樹齢2,500~3,000年の『森の父』です。そこまでは道も補整されており、一部手助けは要るものの車いすでも入っていけます。
存在するカウリの木の中で幹周りが一番太く16.41mもあり、全国で2番目に大きな木であるためその存在感には圧倒されます。
Yakas Walk / ヤカス
この木は『Kauri Walks』の看板から駐車場に入り、そこから歩いて片道40分程度のところにあり、触れるカウリの木の中では国内最大です。幹周りが12.29mもあり、高さ43.09mにもなるこの木に触れてみると歴史の深さを感じられます。是非触って、見て、その存在を実感してみてください。
注意事項!!
トレッキングを楽しむ人にとってのマナーはとても重要になります。特に今では数少ないカウリの木を守るためには皆さんの協力が必要不可欠となります。
まず森に入る際、入り口には消毒液とブラシが置いてあるので必ず靴裏に消毒液をかけ、ブラシで奇麗にして外からの病気や土などを落としてください。出る時も同様に靴裏消毒が必要になります。
またたとえ自分の愛するペットと散歩したいとしても犬などの動物は絶対に入れてはいけません。トレッキング中は歩道からはみ出て歩いたりカウリの木に近づきすぎると、地表表面に根を張ったカウリの木の根っこが傷つけられ死んでしまうので注意が必要です。
森に入る前にはTane Mahutaのコース近くにお手洗い場所があるので先に済ませておくとよいでしょう。Kauri Walksにはトイレがないので気をつけてくださいね。
またワイポウアの森の中にはお店やガソリンスタンドはないので、水は持参したり、帰りの分のガソリンを考慮しておくといいかもしれないです。一番近いガソリンスタンドは南北20~30km行ったところにしかないのでご注意を。
その他の楽しみ方
ワイポウアの森まで道中長いですが、所々で楽しめる場所もあります!!オークランドから車を走らせて2時間15分程行ったダーガビルの町付近はサツマイモ(クマラ)の生産地として有名な事もあり、その町にあるBlah Blah Blah Cafe&Barのクマラチャウダーはここでしか食べる事が出来ないので休憩がてらランチを楽しんでも良いかもしれないですね。
またそのダーガビルの町まで30分のところにはカウリ博物館もあり、ここではカウリの木に関する情報が満載でかなり高い満足度が得られます。是非その目でカウリの木を見る前に博物館でたくさんの知識を得に訪れてみてください。
ワイポウアナイトツアー
Footprints社が催行しているワイポウアのナイトツアーでは、夜日が暮れて真っ暗になったところ一人一人懐中電灯を持ってタネ・マフタを訪れます。森の主の前でマオリ族の方が歌を歌ってくれたり祈りを捧げてくれたり、マオリ伝記のストーリーを話してくれたりと、普段味わう事の出来ない神秘的な空間に包まれながら楽しむ事が出来ます。
運が良いと野生のキウイバードが足下までやって来たり声を聞く事も出来ます!その際タネ・マフタから20分程の町に宿泊しないと参加出来ませんが一生の思い出になる事間違いなしです。
ワイポウアを訪れる際はマナーを守りつつ、巨木との感動の対面を是非お楽しみください!!
Asuka
オークランドのガイド会社MYDO NZ Ltdで勤務。個人・グループツアー、学生コーディネーター、下見ツアーに関してはmydo@ihug.co.nzへご相談ください。