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第1回 ファームに移り住むという決断

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オークランド中心部から西へ車で30分程いくと、住宅地から緑のあふれる田舎風景に囲まれます。主人が西オークランド出身ということもあり、私はニュージーランドに移住してからずっとこの地域に住んでいてとても気に入っています。今現在すんでいるファームに移る前は、ここからすぐ近くの10エーカーの大きさの所に住んでいました。その家の窓から見える緑のきれいな丘が大好きで、「あんなところに住めればいいね。」とよく主人と話していました。行動力のある主人。ある日その丘の持ち主の所へだめもとで譲ってくれないかと交渉に行きました。すると驚いたことに「いいよ!」との好返事をいただき、あれよあれよという間に話が進み念願のドリームファームを手に入れたのです。

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大自然に囲まれたい

私にとっては以前住んでいた10エーカーの広さでも十分大きかったのですが、主人は所有のファーム内でウサギ狩りやカモ、キジ狩りができるのが理想らしく、大きければ大きい方がよかったようです。現在のファームは購入時本当に何にもないただの丘だったので、住むところを建設中は住宅地にしばらく住んでいたのですが、その間は近所の出入り、騒音などに慣れず、鳥の声、静けさ、夜は真っ暗という環境が恋しく感じられました。大きな町のオークランドでも我が家では月のない夜は天の川がとてもきれいに見られ、流れ星もよく見られます。子供たちに思いっきり森の中を探検したり、走り回ったりしてほしかったのもファームに引っ越した大きな理由のひとつです。

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自給自足を目指す

お隣との境界のフェンス以外本当に何もないところだったので、まずはドライブウェー、住むところの建設からはじめないといけませんでした。丘のてっぺんの本当に見晴らしのいいところに家を建てたかったため、道から一番奥に入ったところに家を建てることに決めました。そのため、ドライブウェーがなんと750メートルという長さになってしまいました。長さは私達は構わないのですが、この長さのためいくつか問題が発生しました。

電力会社の電線は公道沿いにあり、そこから電気を引くとなるとものすごい高額の費用がかかることがわかりました。そこで、ソーラー自家発電の見積もりをとったところ、電線を引く工事よりもずっと格安でした。自家発電ならば最初の設置費用さえ払えばあとは毎月の電気代というのは発生しないし、システムが順調に運転すれば停電の心配もないので、迷うことなく自家発電設置を決めました。最初はものすごく節電に気をつけなければいけないのかといつも気にして生活していましたが、今まで何の支障もなく生活できているので、この選択は大正解でした。

また、公共の上下水道も利用できないので、大きな水タンクを3つ設置し、屋根から雨水を集め生活水に利用しています。フィルターを通した水が蛇口から出るので安心して飲めます。子供達はレストランに行くと「これ、水道水。おいしくない。」というくらいです。下水処理システムも地下に埋め込み浄化処理します。
私たちも子供たちも電気や水が「限りのある資源」というのが良くわかり、節電、節水が自然と身につきました。

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ファームに住んで一番したかったことは自分達の食べる物はできるだけ育てたい、ということです。それを実現するためにはまず家畜を放牧できるようにフェンスを作らなくてはいけませんでした。トラクターとフェンスのくいを打ち込む重機を購入し、初心者の主人と二人手探りで作り始めました。何千本という杭を打ち込み、ワイヤーや金網をつけフェンスを作りました。私の操作ミスで主人とトラクターごと池に沈没させそうになるというハプニングなどたくさんありましたが、今では主人、プロ並みの腕前になりました。
フェンスができ、水のみ場も設置できたあと18頭の牛を購入し放牧しています。いずれは、豚、ウサギも食用に育てたいと思っています。自分たちで育てていれば、動物がどのような環境で育ったか、どのような物を食べていたかが一目瞭然なので安心して食べられるのが魅力です。

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ここに移り住んでもうすぐ2年がたちます。「お仕事リスト」を作って、達成した物を消すときはとてもうれしいのですが、ひとつ消すと3,4つの仕事がリストに加わるという状況です。一日一日でみると何も進歩がないと思うのですが、2年前に撮った写真と比べるとずいぶん扱いやすいファームになってきたなと思います。理想のファームになるまでまだまだたくさんすることがあり大変ですが、楽しんでこれからも開拓していきたいと思います。

あやの
オークランド在住17年目の主婦。ガーデニング、キャンプ大好きアウトドア人間。
キウイの旦那と3人の息子に囲まれ、彼らに鍛えられる毎日を過ごしている。