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在オークランド日本国総領事館・総領事 横山佳孝

横山佳孝

ニュージーランドと日本との信頼関係や絆を大切に、両国の交流を深めていきたいです。

ニュージーランド北島のワイトモ、ルアペフ、タウポ、ワカタネ、オポティキの各地区以北を管轄し、在留邦人にとって力強い存在である在オークランド日本総領事館。2015年4月よりその総領事としてオークランドに赴任された横山佳孝さんにお話を伺いました。

オークランドは自然の表情が豊かで多国籍な街

ニュージーランド北島の北半分に暮らす日本人であれば、一度はお世話になったことがあるのがオークランドにある日本国総領事館。旅券の更新のほか、在留証明、警察証明、自動車運転免許書抜粋証明といった海外に住む上で必要となる各種証明書の発給、さらにはパスポート紛失などのトラブルにも対応してくれる、在留邦人にとって力強い存在です。

2015年4月、総領事館の新しい総領事としてオークランドに赴任されたのが横山佳孝さん。今から38年前に外務省に入省した横山さんはこれまでヨーロッパ在勤経験が多く、ニュージーランドを含む大洋州(オセアニア)地域を訪れたのは今回が初めてだそうです。

「外務省に入るとまず語学研修を受けるのですが、私はブルガリア語を勉強することになり、ブルガリアで2年間、現地の学校に通いました。そしてそのままブルガリアの日本国大使館に勤務し、それ以降も日本と行ったり来たりしながら計4回、ブルガリアに赴任しました」

ほかにホノルルの総領事館やローマにある日本国大使館などに勤務され、欧州問題や安全保障、経済協力といった各部署も担当された横山さん。ニュージーランドにはどのような印象を抱かれたのでしょうか。

「オークランドに来て、まず自然が雄大でその表情が豊かなことに感銘を受けました。オークランドのような都会でも少し郊外に車を走らせれば鬱蒼とした森林が広がり、見上げるほどの大樹もあちこちにあります。領事館の職務室は窓から海が見えるのですが、この海の色が1日のうちにさまざまに変化することも興味深いです。そんな自然の姿同様、オークランドは人々も多様で、まさに多民族で構成されている都市ですね。また、いたるところに日本料理のレストランがあり、和食文化が想像以上に浸透していることに気付きました」

領事業務や文化・人物・スポーツの交流が業務の柱

オークランドに到着した数日後、横山さんはシティ中心部で開催された日本がテーマのお祭り「ジャパン・デー」に参加されました。おみこし、日本舞踊、三味線、武道といった伝統文化の紹介のほか、コスプレやロックバンドのライブといった現代カルチャーの披露、さらにアサヒビール主催のビアガーデンまであり、その規模の大きさに驚かれたそうです。

「ジャパン・デーはオークランド日本人会の関係者の方々が相当前から綿密に計画・準備をされて、その結果素晴らしいイベントになったのでしょう。ステージで行われるプログラムも来場者を惹き付ける工夫がされていて感心しました。特にマーシャルアーツのデモンストレーションや茶道のセレモニーは盛り上がっていましたね。総領事館も共催させていただき、来年も同様にご協力する予定です。東京の外務本省でもこういった日本関連のお祭りには今後さらに予算も取ってお手伝いしていきたいという意向があるので、本省とも相談しながらオークランドでどのようなことが可能なのか検討したいと思います」

また、ジャパン・デーに限らず日本とニュージーランドを結ぶ交流活動にも力を入こうと考えているとか。

「広報文化活動には重点を置きたいと思っています。例えば日本映画の上映会とか日本の写真展の開催とかですね。それから青年交流、姉妹都市交流、スポーツ交流の強化を柱に業務を行いたいと考えていて、特に2019年に日本でラグビーワールドカップが開かれますから、それに向けてラグビー王国であるニュージーランドとの交流をさらに増大することが目標です。また、2016年は福岡市とオークランドが姉妹都市を締結して30周年を迎えるので、オークランド市役所と連携をとり、都市間の交流を深める努力をしていくつもりです」

ニュージーランドとの関係を強めて在留邦人の役に立ちたい

オークランドに赴任されて日が浅い横山さんは、まだ管轄エリア内を見て回ったり私生活を満喫する余裕が得られていないといいます。しかし在勤中にぜひニュージーランドの大自然を経験したいそうです。

「なかなかオークランド市内から出る機会をまだ持てず、一度ウェリントンに日帰り出張したくらいですが、いずれニュージーランドならではの大自然に触れてみたいです。ヨーロッパ在勤時代も続けていた趣味のテニスも楽しみたいですし、個人的にはロトルアの温泉に行ってみたいと考えています」

ニュージーランドは非常にリラックスした環境で、日本の暮らしと比べてもあまり違和感なく日常生活に入っていけたと語る横山さん。ニュージーランドは極めて平和な国ではありますが、最近の世界情勢を考慮した認識は必要とも言います。

「今年に入ってからイスラム過激派がフランスで銃撃事件を起こしたり、オーストラリアでも活動しているといった報告もあるので、ニュージーランドが今後もずっと安全面で問題ないとはいえません。そうした認識、危機感もある程度は持っていなければならないと思います」

総領事館の管轄地域には、現在9400名の日本人が暮らし、そのうち8100名がオークランドに住んでいるそうです。その数は年々増加傾向にあり、領事館を訪れる人も増えているとか。横山さんはそうした在留邦人の役に立ちたいと話します。

「領事館としてはご利用者に対して常に丁寧な対応を心がけていますが、何らかの改善点や至らない部分があったらぜひお申し出いただきたいと思います。それから管轄エリアにお住まいの日本人の方々が長年にわたって培われてきたニュージーランドの人々との厚い信頼関係や絆は大きな宝ですから、領事館はそれを踏まえてオークランド、そしてニュージーランドとの関係を一層強めていかなければと考えています」

海外生活に欠かせない領事館で豊富な海外経験をもとに日々の業務に携わる横山さん。ニュージーランドに暮らす日本人の生活が充実するよう、さまざまなアシストをしてくれることでしょう。

横山佳孝

よこやま・よしたか●長野県塩尻市出身。

外務省入省後、2年間ブルガリアで語学研修を受け、在ブルガリア日本国大使館に勤務。以降も4回ほどブルガリアに赴任する。ほかに在ホノルル日本国総領事館、在ローマ日本国大使館での在勤経験を持つ。

東京の外務本省では欧州、国際協力、国連、安全保障などの部署を担当し、直近では難民支援団体に出向し、ミャンマーからの難民受け入れ実務に従事。2015年4月、オークランドに赴任した。趣味はテニス。

在オークランド日本国総領事館URL
www.auckland.nz.emb-japan.go.jp