「何か変わった体験がしてみたい」──そんな人におすすめしたいのが、オークランド郊外にある野外美術館「ギブズ・ファーム」。この国有数の富豪アラン・ギブズ氏が自身の所有する牧場をアート展示の場として提供しているもので、そのスケールと個性は一見の価値ありです!
広大な牧場に現代アート作品が点在
オークランド中心部から北へ約45分ドライブした場所にある「ギブズ・ファーム」。オーナーのアラン・ギブズ氏は美術収集家であり、1991年にこの地を所有すると、牧場とする傍ら、数々のアーティストに創造の場として開放しました。
南半球最大の湾カイパラ・ハーバーの海岸線に沿って広がる面積約1000エーカーのギブズ・ファームには丘陵、平原、池など多彩な地形が存在します。この地形を考慮して作品づくりをするという点がアーティストにとっては挑戦であり、この美術館を特別なものにしているとアラン氏は話します。
現在、同ファーム内には25人のアーティストによる27の作品が点在。小さいモノでも数メートル、大きな作品になると全長3.2kmにも及ぶなど、そのスケールは桁外れ。指定された日に一般開放されているほか、企業のファンクションやチャリティイベントなどの会場としても使われています。
牧場内でキリンにも会える!
ギブズ・ファームはその名の通り牧場でもあるため、動物も飼育されています。牛やアルパカ、エミューといったニュージーランドの牧場でおなじみの動物たちはもちろん、何とキリンが飼われている点もユニーク。開園日にはキリンに餌をあげて触れ合うことができ、子供たちにも大人気です。
主なアート作品はこちら
ギブズ・ファームで鑑賞できる主な作品をいくつかご紹介します。
Bernar Vanet作「88.5°ARC×8」
高さ27メートルの曲線を描いた鉄の棒が8本そびえ、圧倒的な存在感を放つ作品。フランス人アーティスト、Bernar Venetが2012年に手がけました。海を望む丘の上に立ち、朝日や夕日を浴びたときに映えるような作品を考えたそうです。
Anish Kapoor作「Dismemberment, Site 1」
真っ赤なラッパのような形をした全長85メートルの作品。インド出身、ロンドン在住の現代彫刻家アニッシュ・カプーアによって2009年に造られたものです。両端にある2つの楕円はマイルドスチール(炭素鋼)、本体部分はゴム状の生地が使われています。
Neil Dawson作「Horizons」
クライストチャーチ出身のアーティスト、ニール・ドーソンが1994年に造った、同ファーム内でも古い作品です。立体的に見えますが実は平面のトリックアートで、角度によって見える形が変わるのが面白いです。
Graham Bennett作「Sea/Sky Kaipara」
カイパラ・ハーバーを背景にステンレススティールとガラスでできた窓のようなオブジェが整列する作品。クライストチャーチで活動するネルソン生まれのグラハム・ベネットが1994年に造ったもので、季節や天気、時間帯で変わる空の色がガラスに映し出され、自然との一体感を表現しているそうです。
Richard Thompson作「無題」
片側がブラック、もう片側はレッドに塗られたスクエアが4つ並び、見る角度で表情が変わる作品。オークランド出身のリチャード・トムソンが1994年に造ったものです。
Richard Serra作「Te Tuhiranqi Contour」
板金を用いた巨大彫刻で知られるアメリカの巨匠リチャード・セラが1999年から2001年にかけて手がけた大作。薄さ50ミリ、高さ6メートルの鉄の壁が曲線を描いて252メートル続き、壁に沿って歩くとなにやら映画の世界に迷い込んだかのような感覚に襲われます。壁は垂直ではなく、11度傾斜している点もポイントです。
ギブズ・ファームを訪れるには?
ギブズ・ファームは私有地のため、通常は立ち入ることができません。一般開放されるのは指定された日のみで完全予約制。公式ウェブサイトから申し込み、受領のメールが届いたら予約完了です。入園料は無料。当日は受領メールをプリントアウトしてエントランスで係員に見せて入園します。
指定日は月に1回程度で、申し込みがスタートするとすぐに満席になってしまいます。現在、半年先まですでに予約が埋まっているので、こまめに公式サイトをチェックして見逃さないようにしましょう。
持っていくと便利なモノはこちら!
動きやすい服装&靴
ギブズ・ファームでは牧場内を3~4時間歩くことになるので、汚れてもよく、動きやすい服装と靴を用意しましょう。雨天でもオープンするので、その場合は長靴、レインコートなど雨具の用意が必須です。
食料・飲料水
園内やその近くに売店やカフェはありません。園内は禁酒なのでアルコールは持ち込まないようにしましょう。また、ゴミはすべて持ち帰りましょう。
帽子、サングラス、日焼け止め
ギブズ・ファーム内には日陰はほぼありません。
レジャーシート、ウェットティッシュ
ファーム内でピクニックをする際に便利です。
カメラ
写真はいくら撮ってもOKです。対象物が大きいので広角レンズがあるといいでしょう。
そのほかの注意点
園内には簡易トイレの用意があり、概ね清潔ですが、気になる人は事前にトイレを済ませておくといいでしょう。
ギブズ・ファーム/Gibbs Farm
- 2421 Kaipara Coast Hwy., Makarau, Auckland, New Zealand
- www.gibbsfarm.org.nz
- 開園日時:
- 指定日(毎月1回程度)の10:00~14:00
- 入園料:
- 無料
予約方法:公式サイト内の「CONTACT」ページより名前、電話番号、Eメールアドレス、希望日、参加人数を記入して申し込む。記入したEメールアドレスに受領メールが届いたら予約完了。当日は受領メールをプリントアウトして持参すること。