大工としてニュージーランド永住権に挑戦することを決意した、高卒のタケ。ニュージーランドで大工の経験もコネもないところから始まった仕事探し。初めて海外のの建設現場で働くまでのエピソードと、現地で苦労したことを紹介します。
ニュージーランドで初めての建築仕事をゲットするまで
30歳でレンタカー屋から、建築業界に転職します。とはいえ、仕事のあても、人脈も何もありません。
ニュージーランドには建築関係の人材派遣会社があり、まずはそこで仕事を紹介してもらうのが手っ取り早いだろうと思いました。その当時から、ニュージーランドは少しずつ建築ブームがはじまっており、移民の国はつねに人の入れ替わりもあるため、仕事はありそうでした。
この仕事探しのために、一時帰国したタイミングで日本から大工の腰道具一式を持参。海外で大工として働いた経験はありませんでしたが、道具がいくつかあれば、「ハンマーハンド」という大工のアシスタントならすぐになれるんじゃないかと考えました。
そして向かった派遣会社。小さなオフィスはとてもカジュアルな雰囲気です。若い女性スタッフが色々と説明をしてくれ、「建築の中でもどんな仕事を探しているの?あなたは何ができる?」と聞かれました。
「ニュージーランドでの大工経験はないが、現場作業員ではなく大工の仕事がしたい。」
「大工のやり方は日本とニュージーランドでは違うし、オーストラリアの現場でも大工をやっていたわけではないけど、何をすればいいか説明をしてもらえればできる。」
「大工の手道具もちゃんとある。」
ということを、とにかく自信たっぷりに伝えました。
ここで、英語があまりにも下手だとそもそも仕事現場にさえ入れてもらえないのではないか?と思っていたので、自分ができる仕事内容は英語で説明できるようにしておきました。
とにかく仕事をもらうために必死です。海外での大工経験は持ち合わせていないものの、現場にさえ入りこんで、仕事を始めてしまえばこっちのもんだろうと思っていました。
ハッタリをかます勢いで自信まんまんにスタッフとの面談を終えた結果、無事にハンマーハンドとしての仕事を獲得できました。
そして初めての現場で、その自信を地の底まで落とされることになります。
建築現場の英語がとにかくわからない
ニュージーランドでのはじめての仕事は、スキー場に新しくビルを建てる大きな現場でした。荷物運びや掃除などをする現場作業員ではなく、大工のアシスタントとして道具を使わせてもらえる立場でした。
その前にレンタカー屋で、イギリス人やアイルランド人、ニュージーランド人などに毎日かこまれて1年以上働き、ネイティブ英語に慣れたつもりではいましたが、建築現場に入ると英語で打ちのめされました。
移民ももちろん働いていますが、思っていた以上にニュージーランド人が多い現場だったので、英語のアクセントにとても苦戦しました。
休憩中など普段の会話も苦労しましたが、何よりも大変でしんどい思いをしたのは仕事の英語。
道具の名前も、仕事の名前も、何もかもわからない。なので、「道具の実物や、仕事のやり方を直接見せてほしい。めんどくさいと思うけど頼む。」とお願いしていました。
現場の同僚が全員ニュージーランド人に。ますます英語がわからなくなる
スキー場の現場がひと段落してからは、現在も働いている工務店に会社を変えたのですが、そこはめずらしく移民が働いておらず、なんと同僚が全員ニュージーランド人になってしまいました。
それまでは、少数派ながらイギリス人もいたのでまだやりやすい部分もあったのですが、ニュージーランド人しかいない会社に入ってからは、英語がますます難しく、何を言っているのかわからなくなってしまいました。
当時の英語力は、アイルランド人と住んでいても会話ができ、英語テストのIELTS 6.0(TOEICなら700-800?)くらいは取れたのではないかというレベルでしたが、建設現場での英語となると話が違いました。
たとえば日本、特に関西の建築屋というと、「ワシ、やっとっさけのー」のような、学校や接客業とはまったく違う話し方をしているのをイメージできると思います。留学生が日本語を標準語で勉強してきたのに、圧倒的な博多弁で話されているような感じです。
みんなが話している話題にも困りました。みんなが好きなラグビーの話になっても、俺はスポーツを見ないのでチーム名さえもわからない。また、同僚には犬好きが多かったのですが、好きな犬の種類を聞かれても、犬の英語名も知りません。
会社のみんなは優しかったし、誰も俺の英語レベルを気にしてないけど、俺は地獄のように感じていました。
とにかくみんなの英語を聞くしかありませんでした。でも集中力は30分ほどしかもたないし、思い返してみると、口数も今より少なかったと思います。英語だけではなく仕事で覚えることも多いし、計算も英語だし、数字を読むのも難しい。
ここから何年も、ニュージーランドの建築屋の英語に慣れるまではずっとしんどい思いをしていました。今こうして振り返ってみると、ほんとうによくやったなと思います。
次回の第6回コラムに続きます。
コラムに掲載している内容は、すべて私、個人の経験にもとづく情報提供のみです。移民法も私が経験した当時とコラム執筆時点では大きく変わっています。私は移住をアドバイスする資格をもっていないので相談にも応じませんのでご了承ください。あくまで私の経験談です。
高卒から大工としてニュージーランド永住権を取得した関西人。オーストラリアでも建築現場を経験。ニュージーランドでは見習いから始め、大工の国家資格を取得。高級注文住宅を建てている。SNSやYouTubeで発信中
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