今月半ばで息子はちょうど2歳半になります。2年半にわたる子育て期間を経て、私が思うニュージーランドでの子育ての良いところを少し考えてみました。
ニュージーランドでの出産
日本では妊娠したことが分かると、産婦人科に通うというケースが多いと思います。ニュージーランドでは、妊娠したことが分かると、リストの中から担当してもらう助産師さんを選び、出産後までお世話になることになります。
そう聞くと、助産師さん選びはとても慎重にしなくてはいけないですよね。確かにそうなのですが、もし「この助産師さん合わないな…」と思ったら、途中で替えることもできるそうです。
出産後に、担当の助産師さんの評定書も記入しました。生まれてくる命に関わるお仕事ですから、こういうシステムで水準を保っているんですね。
私を担当してくれた助産師さんはとてもいい方で、産後5週目までお世話になりました。特に退院後の1週間はほぼ毎日訪ねてきてくれて、母子ともに様子を見てくれたり、授乳の指導をしてくれたりしました。
日本からお手伝いに来てくれていた母が「毎日会いに来てくれて親切だね」と言ったのを助産師さんに伝えたら、「ニュージーランドの制度は、お母さんにとても優しいのよ。でも、そのありがたみに気づいていない人も多いけどね」と言っていました。
私のように外国から来ていたりすれば、比べることもありますが、そこに暮らしていれば、それが当たり前になってしまうのはしょうがないことかもしれません。外国で出産をしたことはとてもいい経験になったと改めて思います。
言葉の習得
日本人の母親としてニュージーランドで子育てをしていて、よく聞かれるのがどの言葉を教えているかということです。
両親が日本人、片親が日本人など、こちらで知り合った方達も家庭環境はみな様々で、もちろん教育方針はその家庭によっても異なります。お家では日本語以外話してはダメというストイックな家庭から、日本語もたまに使うけど結局英語で会話になってしまうという家庭もあります。
我が家では、息子に対して私は基本的に日本語で話すようにしていますが、タイ人のパパは英語で話しかけています。息子もずいぶん言葉を使ったコミュニケーションをするようになりましたが、今はちょうど英語と日本語が半々で出てくるというところでしょうか。
学校に行き始めると英語はすぐ身につく、という話をよく聞くので、私としては今の内から日本語に馴染んで、できることなら使いこなせるようになって欲しいと思います。欲を言えば、せっかくニュージーランドで暮らしていますから、日本語、英語に加えてマオリ語も話せたらかっこいいですね!
さらには他の国から来たお友達もいますから、言語だけに限らず日常的にそう言った異文化に触れられる環境で子育てができるのはとてもラッキーだと思います。
公共の場で
ニュージーランドのママたちや日本のママたちと話をしていると、結局は程度の差こそあれ同じように子育てに悩んだり壁にぶつかったりしていて、そこに国境はないんだなと思います。
ただ、これまでに2度息子を連れて日本に帰省していますが、ちょっと違いを感じたのは、日本のお母さんの方がニュージーランドのお母さんたちより肩身が狭そうだなということ。
普段ニュージーランドで暮らす中で、息子が泣きわめいたり、はしゃいだりすることももちろん多々ありますが、こちらではあまり嫌な顔をされた経験がありません。
むしろ優しくしてもらえることがほとんどです。周りの人たちは笑ったり、声をかけてくれたり、そうでなくてもいい感じで放っておいてくれることが多いです。
日本にいた時は、特にバスや電車などの公共交通機関などで大人しくさせておかなくては、という少し緊張感が漂っている雰囲気がありました。
周りの人々とお互い尊重し合う日本の和の心を学ぶのもとても大切なことだと思いますし、息子にも学んで欲しいと思います。でも、ある程度の年齢になるまでは、子供にじっとしているよう言い聞かすのはちょっと大変なこともありますよね。
もしかしたら、その点でのストレスはニュージーランドの慣習のおかげであまり感じずに過ごせているのかもしれません。
山田 早矢香
ロトルア在住。2003年に短期留学の予定で初めてニュージーランドに渡り、その後滞在を延長。ワーキングホリデービザ、就労ビザを経て、2014年に永住権取得。現在は2歳になる息子の子育てに奮闘中。