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不動産のオークション会場を取り仕切る、紳士淑女の正体

不動産のオークション会場を取り仕切る、紳士淑女の正体

ニュージーランドでの不動産のオークション会場。たくさんの聴衆を前に、仕立てのいいスーツに鮮やかな色のネクタイを締め、ピカピカの靴を履いている紳士が、穏やかな口調ながら隅々まで通る声で、人々の関心を引き、雰囲気に巻き込んでいく…、その光景は一種エンターテインメントに見えます。

“オークション”とは、「競売」、‘買い手を競わせ、最高の金額また最良の購入条件を提示した買い手に売却すること。’ニュージーランドの不動産売買ではとてもポピュラーな習慣です。このオークションを取り仕切る人が、“オークショニア Auctioneer”。

オークショニアは、必ずしも資格を持っている必要はありません(*1)。厳密に言うと、資格(*2)を持っている人をオークショニアといい、持っていない人はセラー Sellerです。不動産の売買で登場するオークショニアはセラー、不動産会社の社員が大半です。とはいえ、オークショニアには、様々な専門的なスキルが必要なため、やはりトレーニングが必須。

現在ニュージーランドには、大学などの高等教育での公式の専門コースはありませんが、不動産会社やセールズトレーニングのコースなどに参加して知識やスキルを身につけていきます。ものの見識、市況やマーケットの傾向、法律、計算能力、スピーキング、コミュニケーション能力、服装…など、広範囲に渡る知識、技術を学び、センスを磨いていきます。

中でもスピーキングは重要。流暢な語り口、はっきり声に出すけれども怒鳴るものではなく、雰囲気作りのために若干のウィットは必要とするが使いすぎず、買い手をうまくオークションの流れに乗せていく…。

服装も大事なポイント。オークショニアとしての‘権威’を見て感じてもらう必要があります。スーツにネクタイ、靴もしっかり磨かれたものを着用することが大切。

オークショニアとしてしてはいけないこと、それは“missing out”、見逃しです。この見逃しで数千万の損失が出る可能性があります。

年に一度、Real Estate Institute of New Zealand (REINZ)によるオークショニアのコンテストが開催され、上位3名はオーストラリアでの大会出場権を手にします。過去この大会で何度も優勝に輝いていることを、ニュージーランドのオークショニアはとても誇りにしているそうです。

さて、今週末、どこかのプロパティのオークション会場に足を向けてみますか?オークショニアのパフォーマンスにきっと目を奪われることでしょう。

*1競売の商品によっては、Auctioneers Association of New Zealandへの登録が義務付けられたり、別ランセンス(お酒など)が必要です。
*2 Auctioneers Act 1928により規定