ニュージーランド議会で赤ちゃんを抱きながらミルクを与えていたマラード議長の姿が、世界中のニュースに取り上げられていましたね。コフィ―議員の赤ちゃんが代理母であったことも、ニュージーランドが開かれた国であるという印象を強めたのではないでしょうか。代理母から生まれたコフィ―議員の赤ちゃん。代理母出産 (surrogacy) とは、どのよう出産なのでしょうか。今回は、代理母出産とは? 代理母出産の種類、代理母出産によるアレンジメント、そしてニュージーランドにおける法的規制について見ていきましょう。
代理母出産とは?
代理母出産とは、女性が他の人のために赤ちゃんを体内で育て、出産することです。代理で出産を行う第三者の女性を、代理母といいます。
代理母出産の種類
Straight (or traditional) surrogacy
Straight surrogacyは、父親の精子により代理母が妊娠するため人工授精として知られています。この場合、母親と赤ちゃんに血のつながりはありません。
Host (or gestational) surrogacy
Host surrogacyは、母親もしくは第3者の卵を体外受精させ、体外受精した卵は代理母の子宮で育てられます。この場合、代理母と赤ちゃんに血のつながりはありません。
写真出典:ぱくたそ(www.pakutaso.com)
代理母出産によるアレンジメント
Altruistic surrogacy
このタイプの代理母出産は、お金が関与しない、もしくは謝礼やかかった費用を負担する程度の金銭的関わりです。通常、血縁者や友人が代理母になります。
Commercial surrogacy
商業的代理母出産は、金銭を目的とした代理母により行われます。アメリカの一部、インドやロシア、ウクライナでは、商業的代理母出産は法的に認められています。
ニュージーランドにおける法的規制
世界的に見て、代理母出産が一定の条件下において認められているのは、イギリス、オランダ、ベルギー、カナダ、ハンガリー、フィンランド、イスラエルです。
逆に、全面的に禁止している国は、ドイツ、イタリア、オーストリアで、日本学術会議の提言では、日本における代理母出産は原則禁止が望ましいとされています。
ニュージーランドでは、Altruistic surrogacyによるアレンジメントを条件に、代理母出産が認められています。代理母出産としての法律ではありませんが、代理母出産に関してHuman Assisted Reproductive Technology Act 2004(HART)によって規制されています。
ちなみに、ニュージーランドにおいて、商業的代理母出産は違法です。商業的代理母出産は、最大1年の懲役および/または100,000ドルの罰金が科せられるようです。
参照文献・サイト
Surrogate babies: Where can you have them, and is it legal?
http://www.bbc.com/news/world-28679020
代理懐胎を中心とする生殖補助医療の課題 -社会的合意に向けて-
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t56-1.pdf
New Zealand Law Commission
http://www.nzlii.org/nz/other/nzlc/pp/PP54/PP54-4_.html
Harmans Lawyers
https://www.harmans.co.nz/about-us/articles/surrogacy-a-recent-case-study/