ニュージーランドは安全な国ですかと問われたら、何と答えますか。
ニュージーランドのイメージは何?牧場には羊がいて、ストレスをそんなに感じることなく、人々は少し保守的だけど優しい。住みやすくて安全な国だと思っていませんか。確かに私が来た30年以上前まではそうでしたでしょう。鍵をかけずに外出しても、さほど気にしなかったです。「外国人が住みたい国・安全だと考えている国はどこ?」の調査では、ニュージランドは大抵トップランクに入っていますが、果たして、そうでしょうか。
オークランドの落書き問題
今年になってコロナ制限もなくなり、やっと気持ちよく外出できるようになりましたが、よく見かけるようになったのは、公共物への落書きです。これは公共物汚損につながり、違法で軽罪にあたり、最高3ヶ月刑務所に行くか、社会奉仕罰を与えられるか、2000ドルの罰金を課されます。コロナ蔓延中に、高速道路、橋、フェンス、街灯、建物の壁などに多くの落書きが増えました。コロナ制限がやや緩くなった昨年10月、11月には落書きを消してという電話が400件(前年度の2倍の件数)オークランド市に入っています。市では、年4百万ドルを使って、公共物の落書きを消していますが、簡単にはいかず、場所によると、特殊な道具が必要なこともあり、又、交通整理が必要だったり、交通を遮断しなければならなかったり、兎に角、膨大な時間とお金をかけています。
- これは高速道路の塀の落書き
- これはGlen Eden 駅近くの落書き
落書きの起こりとその影響力
そもそもの落書き発端は何だったのでしょうか。1968年頃「Cornbread」とあだ名を持つ高校生ダリル・マッククレイが好きになった女子高校生、Cynthiaの注意を引くために住んでいる町(アメリカのフィラデルフィア)の至るところに「Cornbread Loves Cynthia」と書き始めたのが、今の落書きの始まりだと言われています。しかしながら、落書きと犯罪は親密な関係になり、1980年代までには、公共施設の破壊行為は氾濫し、大問題化することになりました。
1993年から多犯罪時ニューヨーク都市で犯罪撲滅対策の一つとして、NYの地下鉄の落書きを一掃しようと大変な努力をして有名になった ニューヨーク市長、 ルドルフ・ジュリアーニ が使用した言葉、「Broken Window Theory」。「割れている窓ガラスをほっておくと、次から次へと割られて行く」。つまり、小さな犯罪を放置しておくと、その内に大問題になるということです。地下鉄などの落書きを綺麗に一掃したら、4年後には街から60%の殺人事件が減ったと言われています。
キース・カイザー(オランダにある大学の社会心理者)は次のように言っています。落書きやごみが散らばっている所では、犯罪が2倍増加するという調査をしました。これは、オランダのあるで町で、住民の郵便箱の中に5ユーロ紙幣を入れた封筒を置きます。すると、落書きされた壁や塀、そして、ごみが散らばっているような所では封筒25%が盗まれた。地域が綺麗な所での封筒は13%盗まれたと言う。つまり環境が悪いところでは犯罪が2倍に膨らむという調査結果が出ています。
落書きの目的
私たちが住んでいる町の落書きは、一体誰が何の目的でするのでしょうか。 落書き警備担当のネイルソンさんはコロナのロックダウン以来、非常に増えたと。子供ではとてもできない。これらの落書きは非常に洗練されているし、子供では登れない高い場所、水塔、高速道路の橋やサインなどだから、きっと同じグループの人たちが「これ見よがし」にやっているしか考えられない。他人の所有物や公共施設の破壊行為の落書きを放置しておくと、誰も関心がない思いもっと落書きに執拗になったり、他の犯罪を呼び込むような感覚認識が増加して行くと言っています。落書きで塗られた街は誰が見ても、思わず目を背けてしまうし、治安は大丈夫なのかと、社会モラルの低下に愕然とします。
壁画の力
落書きと壁画の関係を調べると、壁画はアートとして私たちが住んでいる地域にうまく噛み合ってポジティブなイメージを持ち、犯罪の抑止力になると多くの人たちが言っています。例えば、ストリートアーティストで有名な人たちはたくさんいますが、特に「赤い風船と少女」を描いたバンクシーを知らない人はいないでしょう。下の壁画を見てください。どう感じますか。私はこのような壁画をもっと増やして、犯罪防止に繋げられたら、いいのではないかと思っています。
最後になりましたけど、公共施設などの落書きを見つけて消して欲しいと思ったら、電話09-301-0101 、もしくは、写真を撮って、以下オークランド市のサイトに送ってください。
Keep safe、ピワカワカ