ニュージーランド警察が日本人コミュニティーを対象としたセミナー初開催

詳細: カテゴリ: 生活; 2017年10月09日; NZdaisuki.com編集部; 3699

比較的治安が良いと言われるニュージーランドですが、犯罪は日々、身近なところで起きています。トラブルから身を守るためにはどうしたらいいのか。また、実際に被害に遭った時にはどうしたらいいのか。日本人コミュニティーを対象とした安全セミナーがオークランド市警察本部で開かれ、同市警察の担当官が強盗被害と自己防衛、性犯罪被害について講演しました。

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Life is number one, property is number two.

オークランドの街の中心部では、道を歩いている際に物を盗られる被害がよく起きています。強盗（robbery）とは、盗みの中でも暴力や脅しによって物を奪うことを指します。強盗のターゲットにならないためには、次のことに気を付けましょう。

道を歩く時は貴重品は見えないようにしまっておく
携帯電話は手に持たず、ポケットの中に入れておくなどする
下を向いて歩いていると狙われやすいため、周りをよく見ながら歩くようにする

もし、これらのことを守っている状態で脅されて物を盗られそうになったら、抵抗せず相手の要求に従いましょう。相手がナイフなどの凶器を持っていないとは限りません。大事なのは、物よりも命です。被害に遭ったらすぐにその場から離れ、店に入るなりバスに駆け込むなどして、警察に連絡をしましょう。

妥当性、度合いが問われる自己防衛

ニュージーランドの刑法は、第48条に自己防衛（Self-defence）について記載しています。

Crimes Act 1961, Section 48; Self-defence and defence of another
Every one is justified in using, in the defence of himself or herself or another, such force as, in the circumstances as he or she believes them to be, it is reasonable to use.

自己防衛とは、身の安全が脅かされている時に、力をもって自分自身を守ることですが、妥当性が問われます。仮に物を盗ろうと襲ってきた相手を殺してしまった場合、罪に問われるのは自分です。必要以上の力で相手をやり込めるのは自己防衛として妥当ではありません。自己防衛は、個々のケースによって裁かれます。

増える性犯罪と被害者第一の警察の対応

オークランド警察によると、市内での性犯罪の報告件数は増えています。人口の増加のほかに、警察では被害者意識の変化により、性犯罪の被害を警察に報告する人が増えていることが背景にあると考えています。現在オークランド警察が抱えている性犯罪事件は260件。この数にはインタビュー中のものから裁判中のものまで含まれます。

ニュージーランド警察ではここ20年、「人の気持ちが最優先」の考えのもと被害者のサポート体制の整備に注力してきました。インタビューに特化した警察官をチームに配属したり、被害者サポートの専門家と協力するなど、安心して報告できるような仕組みが整っています。

性犯罪の被害に遭った場合はすぐに警察に報告しましょう。できればシャワーを浴びたり、トイレに行ったり、服を着替えたりする前に報告するのが望ましいですが、本人がどうしても不快な場合は、シャワーを浴びたりしてもいいそうです。医療機関での身体検査も希望があれば省くことができます。それから、被害時の状況を聞き出し、調書を作成します。

性犯罪の大半が知人からの被害という現実

もし、自分の知り合いが性犯罪の被害に遭ったら、まずはその人のそばにいて安心させてあげましょう。それから警察への報告を勧めてください。ニュージーランドの警察は犯人の逮捕はもちろん、被害者の心のケアを大切にしています。

留学生や旅行者など、短期の滞在者が性犯罪の被害者となり、仮に帰国してしまった場合でも、本人の希望があれば警察が移動費などを負担し、ニュージーランドで捜査を続けることができるそうです。また、被害者がニュージーランド国外にいても犯人が捕まった時には連絡をもらえます。

性犯罪の被害者のほとんどが知人から被害を受けていて、全くの見ず知らずの相手から襲われるというケースはめったにありません。また、被害者は女性に限らず男性もいます。被害を打ち明けにくい性犯罪ですが、警察には日本語を話せるスタッフがいるほか、ランゲージラインの通訳につなげることもできます。安心して相談できるということを知っておくのと同時に、性犯罪が起こりやすい状況、特に過度な飲酒などを避けるように気を付けましょう。