「健康なので一番安い保険を探してるんですが?」
「いざとなったら日本へ帰るので、安い保険で何かお勧めは?」という、よくある質問にお答えするつもりで始めた、今回の医療保険の話。多少なりとも「安さの裏事情」がお分かりいただけたでしょか?
どんな保険でも立派な商品ですからケチをつけるつもりはありませんが、内容をよく理解していなかったために、いざという時にご加入者が苦い思いをしないよう、もう一つ、たびたび問題になることを取り上げてみましょう。
それは、免責と呼ばれる、自己負担のことです。
免責は自動車保険など、損害保険ではおなじみなのでご存知の方も多いでしょうが、保険金請求時に、事前に定めた金額もしくは請求額の一定比率の金額を、ご加入者が負担することです。
海外旅行保険では免責がないものが主流なので、その延長で、
「病院へ行ったら全額保険会社もち」
と思っていると、思いがけない目に遭うことがあります。医療保険には免責があるものが少なくないからです。
保険ご加入時に、保険料の安さにひかれて、
「免責と言ってもたったの2割。それくらい自分で払えばいい。」
と免責のある保険に入ったとします。ちょっとした検査でGP(一般医)から専門医を紹介されたとしましょう。専門医の診察代と検査費用で1,500ドルかかった場合、自己負担は300ドルになります。年齢にもよりますが、300ドルも追加で払うのであれば、かなりのケースで免責のない全額保険会社負担の保険に入ることができます。
しかも、検査の結果が思わしくなく、時間優先のため私立病院に即刻入院して、簡単な手術を受けるとなると、ほとんどの治療で万単位の負担を覚悟しなければならず、自己負担も数千ドル単位になってきます。こうなると、数年分の保険料になりかねません。
会社の団体保険に勧められるままに入ったり、年間数十ドルの保険料を惜しんだりした結果、いざという時に苦い思いをしなくてもいいよう、ご加入時にはくれぐれも前回一例を挙げたような保障内容、免責の有無とその金額を確認し、気持ちが急いてしまう万が一の時に少しでも慌てずに対処されますよう。
保険はご加入者やご家族の生活を守るためのものですから、いざという時に「入っててよかった」という結果になるよう、これからもプロの立場から、少しでもお役に立ちそうな情報やコツをお伝えしていきます。
次回は、内容をがらりと変え、「遺言」についてお話します。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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