ちょっと重いタイトルですが、保険業などやっていると、病気だの、死亡だの、人が最も考えたくない不幸を前提に話をしなければならず、ここはひとつご勘弁。今回このテーマを選んだのも、思いがけず同じようなご質問を立て続けに受け、まったく同じアドバイスをしたことがきっかけです。当事者にとっては深刻な問題でしょうから、ここでお話してみます。
営業に回っていると、かなりの頻度でシングルマザーの方にお会いします。ほとんどがキーウィのパートナーと離婚したり別居したりという方ですが、中には最初から異国の地で一人で子育てをしている方もいて、みなさんのたくましさに平伏です。本当に凄いと思います。きっと、たくましいシングルファーザーもいらっしゃるんでしょう。
片親の場合、「自分の身に何かあったら」という心配が両親揃っている場合より、より強いのでしょう、みんさん、年齢にかかわらず生命保険に非常に興味をもっておられます。そこで問題になるのが、保険金の受取人です。多くの方が、「私に何かあったら別れたパートナーが子どもの面倒をみることになっている」として、元パートナーを受取人に指定しようとします。
問題は、ご本人と元パートナーの方はなんらかの支障があって離婚したり別居したりしているわけですから、往々にして考え方や利害が一致しない可能性があります。
「子どものためにも、自分に何かあったら父親(もしくは母親)の手に」と、すべてを委ねたいお気持ちはよくわかりますが、本当に期待通りに物事が運ぶかどうかは、残念ながらわかりません。
現に、結婚した2組に1組が離婚するニュージーランドでは、こうした生命保険の転売が一部で問題になっています。通常は保険金の受取人が契約者となるため、元パートナーを契約者および受取人としてご自分で保険金を支払っているうちに、元パートナーが第三者に一種の債権として保険契約を転売したり、契約を担保に借金をしてしまうことがあるのです。
「子どものために」とせっせと保険金を払い続け、いざご自分が死亡した時、まったく知らない受取人が現れ、保険金を全額持っていってしまうなどという信じがたいことが、合法的に起きうるのです。ですから、考え方が一致しない方を保険金受取人に指定することはお勧めできません。かといって、その時何歳になっているかもわからない子どもを、ただ受取人にするのも不安でしょう。そこで大事なのが遺言です。
次回は片親や、例え離婚していなくても「保険金が全額パートナーの手に渡るのは不安」という方の味方になる遺言の残し方をお伝えしましょう。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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