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第7回 幸せを遠ざけている大きなカンチガイ

『サイコセラピー : 閉じ込めた自分らしさを解き放つ生き方を育む』の記事一覧へ

良かれと思ってしていることが、逆に幸せを遠ざけていることがあります。嫌な気持ちをどう扱うか―これが幸不幸の命運を分けます。これを知ると知らないとでは、人生の充実感が雲泥の差です。

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嫌な気持ちにどう向き合っていますか?

今回は一緒に、自分の心を見つめる実践をしたいと思います。

  1. 最近、嫌だな、と思ったこと(不安、イライラ、傷ついた気持ち、嫉妬など)を1つ選んでください。家族やパートナーとケンカしたり、仕事でうまくいかなかった時かもしれません。
  2. その時の情景、誰かが言った言葉、その人の顔やしぐさなどを、ありありと思い出してください。
  3. 嫌な気持ちが湧き上がってくる時、それに対しどんな反応をするクセがありますか?
    例えば・・・
    • 「こんな気持ち嫌だ!」「こんなふうに思っちゃいけない」と、追い払おうとしたり無視する
    • 「何か自分が悪いことしたんじゃないか」と不安になる、自分を責める
    • 「あの人(この状況)が悪い」と相手や環境を責める

あなたは、どんなクセがありますか?私の場合、サイコセラピーを始める前は、嫌な気持ちを消せない自分を、「弱い」と思っていました。だから、「こんな気持ちは断ち切らなければいけない」と、強引に切り捨てようとしてましたね。

嫌な気持ちを、なくそうとするとデカくなる

信じられないかもしれませんが、嫌な気持ちは、なくそうとすればするほど、逆に大きくなって、自分を縛るようになります。

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「嫌な気持ちをなくせば大丈夫」というのは、大きなカンチガイです!

自分の中の嫌な部分や認めたくない感情を、ユングは“Shadow”と呼びました。感じないように自分の中から排除しているShadowが、実は、悩みを生み出している本当の原因だというのです。詳しくは、コラムの第4回に書いてあります。

心理学者のロジャースがこんなことを言っています。”The curious paradox is that when I accept myself just as I am, then I can change.” (面白い逆説だけど、ありのままの自分を受け入れた時、初めて自分は変われる。)嫌な気持ちは、なくすのではなく受け入れる。その時、初めて、ちゃんと扱うことができるからです。

アメリカのサイコセラピストでMeditation teacherでもあるTara Brachは、これを“Radical Acceptance”と呼びました。「今この瞬間に経験していることを、ありのまま認識し、開かれた心で受け入れること」*―つまり、ジャッジしたり、戦ったり、コントロールしたりしようとせず、「経験していることを、ありのまま受け入れること」*です。

「嫌な気持ちを消したい」という衝動に逆らって、あえてそれを受け入れるのだから、“Radical(過激な、強硬的な)”ですよね~。

嫌な気持ちも大切な自分の一部

嫌な気持ちが湧き上がってくると、つい無意識に、追い払おうとしているものです。実際は、「受け入れるのが大切」と言われたところで、そんな簡単にできないことも、よく分かります。ですから、このようにとらえてみてほしいのです。嫌な気持ちだって、喜びや感動と同じくらい、本当の自分です

嫌な気持ちを、ゴミのように粗末にすることは、自分自身を粗末にしていることと同じこと。嫌な気持ちも含めて、自分の一部を排除しようとするほど、幸せを自ら遠ざけてしまいます。

嫌な気持ちをすぐに受け入れられなくても、せめて認めてあげる。心の隅に、居場所を作ってあげてほしいのです。それが、自分自身に対する思いやりです。

まずは、嫌な気持ちを無意識に追い払おうとしている「心のクセ」に、気がつくことが、最初の一歩になります。

以下にいくつか例を挙げたので、ご自分にあてはまりそうなものがあるか、チェックしてみてくださいね。

1. 能力を高めることに躍起になる
「ありのままの自分はダメ、価値がない」と感じたくないから、一生懸命、力をつけたり、何かを達成したりすることで、自己肯定感を高めようとする。
 
2. 人の役に立つ
「必要とされない自分は価値がない」という無意識の信念があると、人の役に立つことで、自分の価値を感じようとする。
 
3.「出来事」「起こったこと」の話に終始する
生々しい感情を感じるのを避けるために、「何が起こっているか」という事柄だけを話す。感情には触れない。
 
4. いつも忙しくしている
奥底にある心の痛みや悩みと距離を置くために、忙しくして目を向けないようにしている。
 
5. 自分を責める
「自分がダメだ」と言っていれば、その奥にある怒りや劣等感、自己無価値感に触れなくてすむ。
 
6. 人を責める
人を責めることで、自分の劣等感や心の傷から、遠ざかることができる。
 
7. 人の悩みや問題にフォーカスする
人の悩みの解決に忙しくしていることで、自分自身の悩みに向き合うことを避ける。
 
いかがでしたでしょうか?

ありのままの自分を受け入れられた分、心の自由が広がります。人生が面白くなります。人間関係も劇的に好転します。その入り口となるのが、「今ここで経験していること」を、ありのまま見つめ、受け入れることです。今日からは嫌な気持ちと、仲良くしてみてください!

* Tara Brachの本「Radical Acceptance」4ページより抜粋
 
Seiko Shirai (Registered Psychotherapist)
 
2002年にニュージーランドに移住。
現在オークランド在住。
サイコセラピーの素晴らしさを一般の人々に届け、より多くの方々が、喜びに満ちて生きる世界を作りたいと願い、活動中。
趣味はマインドフルネス、フレンチホルン、スパ。
 
seikotherapies@gmail.com
seikoshirai.com (English)