医師や医療従事者が続々とストライキに入っているので、ご存知の方も多いでしょうが、ここでも取り上げてみます。
まず、放射線技師が先週9日(金)から13日(火)までの実質5日間のストを実施中です。ストに参加しているのは、全国21ヵ所の地方保健局のうちオークランド、ウェリントン、クライストチャーチを含む6ヵ所の保健局に所属する放射線技師250人。
これにより、330人の患者が治療の延期を余儀なくされ、164人の患者のみ、「生命維持治療」が必要と判断され、予定通りの治療を受けることになりました。普段から順番待ちが問題になっている前立腺がんや乳がん患者を始めとするがん患者には、由々しき事態です。
また、今週15日(木)朝7時より20日(火)朝7時までの5日間、ジュニアドクター(いわゆる研修医)が全国規模でストに入り、影響を受ける患者数は1万人以上と見積もられています。このため地方保健局は緊急以外の待機手術、外来、メンタルヘルス・クリニックが影響を受けると警告を出しています。
しかし、このストによる一番の問題は緊急医療でしょう。ニュージーランドでは医師や医療従事者の不足が深刻な社会問題になっており、ジュニアドクターはER(緊急治療)の重要な担い手です。そのため、期間中の緊急医療は相当な打撃を受けることが予想されます。
すでにオークランド地域を管轄するオークランド、ワイテマタ、カウンティーズ・マヌカウの保健局は、スト期間中、以下の公立病院での医療サービスが緊急医療も含め非常に限定されると警告しています。
【オークランド地域で緊急医療を含めたストの影響を受ける病院】
ワイタケレ
ノースショア
オークランド・シティー
スターシップ
ミドルモア
キッズ・ファースト
グリーンレーン・クリニカル・センター
マヌカウ・サージェリー・センター
保健局は緊急の場合でも、出産と「生命維持治療」には対応するとしていますが、「緊急診療は緊急時のみ」を繰り返し、病気やけがの場合はファミリー・ドクターを利用するよう強く奨励しています。
ただし、クリニックの多くは診察時間が限定されているので注意が必要です。小さなお子さんがいる家庭では、これを機に24時間対応の最寄りのクリニックを調べておくのも一案でしょう。
スト期間中は出産や生死にかかわる場合のみ公立病院での治療が受けられますが、それ以外の治療は保証されなくなります。救急車を呼んでも症状を聞かれ、場合によっては来ないケースもあるかもしれません。交通事故はもちろんのこと、何も起きないことを祈るばかりですが、今さらながらこの国の医療問題を深く考えさせられます。
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高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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