日本では、リスク細分型保険が導入されて以来、自動車保険というものは徹底的に値段を比べて一番安いものに入る傾向にあります。ニュージーランドでも、前回お話したように保険の種類こそ3種類しかありませんが、保険会社によって保険料や補償内容が異なりますので、比較は大切です。ただし、金額ばかりでなく内容の比較もお忘れなく。
同じ補償であれば保険料が安いに越したことはありませんが、値段の違いには必ず理由があります。しかし、事故や盗難など問題が起きない限り、その違いに気が付くことはほとんどないでしょう。保険金を請求をしてみてから、「えぇ?」とビックリすることはよくある話です。安さには訳があるのです。
よくある問題に、「保険金請求への支払いが非常に遅い」というのがあります。もちろん、事故や修理の内容によっては見積もりや確認に時間を要するものもあるので、一概には言えませんが、ワーキングホーリデーなど期間限定で滞在されている方には気になるところでしょう。できれば、帰国してからニュージーランド・ドルの小切手を受け取るような事態は避けたいものです。
ほかにも、「修理は保険会社指定の工場限定」というのもあります。これは「保険会社が何でもやってくれそう」と一見便利そうですが、「塗装の色が違う」「いつ修理が終わるのか分からない」「仕上がりに不満」などの声も聞きます。それならば自分で修理工場を選べる保険にして、万が一の時だからこそ信頼できる人に任せる方が心強いでしょう。
細かいことですが、意外と多い窓ガラスの破損。これも補償が最初から保険料に入っているものと特約となるものがあり、保険の種類は一緒でもよく見るといろいろ違いがあるものです。比較の方法としては、周囲の人、特に保険金請求をしたことがある人に、対応の良し悪しやスピード、修理の状態などを詳しく聞いてみることをお勧めします。
日本と違ってそれほど保険会社があるわけではないので、「○○は時間が掛かる」とか「△△は電話の対応が良かった」など、ある程度の評判が分かるかもしれません。保険はいざという時のために入るものですから、何かあったときの対応は肝心です。ただし、ニュージーランドでは日本のような示談交渉サービスがありませんので、そこを誤解した「保険会社が何もしてくれなかった」というコメントにはご注意くださ
い。
「なんだか面倒くさそう」と思っても最初こそぜひ比較を! あとは毎年更新していけばいいので、簡単です。もちろん、もっと良さそうな保険を見つけたときには、契約更新時に切り替えましょう。限られた予算で、最大の安心感を追求してください。自動車保険の話が続いたので、次回はまったく違うリスク管理の話でも。
(つづく)
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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