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海外で亡くなった場合の相続手続きについて

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相続に精通している、しぶや総和法律事務所代表の綾部薫平弁護士に、「海外在住の日本人が亡くなった場合、相続手続はどのようなものになるのか」「相続の準備として、どのようなことをしておけばよいのか」を教えてもらいました。

 
Q. 日本国籍の方が海外で亡くなった場合、どこの国の法律に基づいて相続手続をしますか?

相続では、亡くなった方の国籍のある国の法律が適用されるのが原則です。少なくとも、日本国内にある財産については、日本法に基づき相続手続が行われると考えてよいでしょう。

 
Q. 遺言を作った方がよいか迷っています。遺言を作るメリットは何ですか?

遺言のメリットを考えるには、もし遺言がないまま亡くなるとどうなるかを考えるとよいと思います。

遺言がないまま亡くなった場合、相続人全員で、遺産分割協議をします。遺産の分け方をめぐって争いが起きると、調停や裁判をしなくてはなりません。争いがなくても、不動産、預金、株式など個別の財産ごとに、名義書換や解約・売却などの手続をするのは大変です。

遺言があると、相続手続は、遺言執行者に一任でき、相続人が沢山の書類にハンコを押す必要がなくなります。亡くなった方のご遺志どおりに遺産を分けるので、分け方をめぐって争いが起きるのを避けることもできます。

 
Q. 遺言を作る際に、工夫できることがあれば教えてください。

遺言というと「Aという財産は誰に」「Bという財産は誰に」と書くものと思いがちです。しかし、Aという財産や、Bという財産が、これから先、亡くなるまでずっとあるとは限りません。財産によって価値が大きく異なる場合、相続人の公平という面から、よい分け方が思い付かないこともあります。そこで、考えていただきたいのは、換価分割という方法です。換価分割とは、遺言執行者に、不動産や株式などを売却したり、銀行口座を解約したりしてもらい、現金に換えて、相続人に分配してもらう方法です。換価分割は、使い勝手のよい方法だと思います。

 
Q. 資産をプライベートカンパニーに移している場合、どのような遺言を作ればよいでしょうか。

大きく分けると、①プライベートカンパニーの株式を相続人に相続させ、会社ごと相続人に承継させる方法と、②プライベートカンパニーを解散し、残余財産を分配する方法があります。

プライベートカンパニーの資産を特定の相続人に相続させたいのであれば、①の方法で問題ありません。しかし、複数の相続人に相続させたい場合は、②の方法の方が、会社にある資産をすぐに分配できるので、よいでしょう。

ただ、遺言で会社を解散させることはできません。そこで、まずは定款に、自分が亡くなると会社が解散すること、その場合の清算人を誰にするかを定めておきます。そのうえで、遺言で、株式の相続割合を定めておけば、あとは清算人が会社の資産を売却などして、相続人に分配してくれます。

 
Q.相続の準備のために、遺言以外で使える手段には、どのようなものがありますか?

まずは生命保険の活用が考えられます。生命保険は、相続税で優遇されていることと、亡くなった後すぐに保険金が受け取れるというメリットがあります。

次に信託の活用が考えられます。遺言は、法律でできることが決められていますが、信託は、契約なので、自由度が高いです。

たとえば、ご相談者様が再婚の方で、相続人は、子供と奥さんですが、子供の実母は前の奥さんで、現在の奥さんとは別の方である場合を想定します。ご相談者様が、賃貸物件を所有していたとして、現在の奥さんが生きている間は、現在の奥さんに賃料収入が入るようにして、亡くなった後は、子供に賃貸物件の所有権を移転したいという場合などに、信託が利用できます。「二次相続」といいますが、遺言では、自分が亡くなった後に、奥さんが亡くなった時のことまでは、取り決めることはできません。しかし、信託であれば、二次相続まで想定したスキームを作ることができます。

 

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業務内容
相続対策、信託の組成、遺言執行、ビザ申請、企業法務など
代表弁護士 綾部薫平のプロフィール
1977年 横浜市生まれ
2001年 東京大学法学部卒業
2008年 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2013年 しぶや総和法律事務所開設