ロトルアボーイズハイDirector of Rugbyナリム・シンプキンズさんに聞く
ニュージーランドで、2015年高校ラグビーの全国優勝をしたロトルアボーイズハイスクールには、プロのラグビーコーチがいます。Director of Rugby(ラグビーダイレクター) であるNgarimu Simpkins(ナリム・シンプキンス)さんです。
ロトルアボーイズハイスクールには、1日1時間、週に5時間(5コマ)のラグビーアカデミーという授業があり、年間スケジュールに基づき運営されています。全体のラグビー学習スケジュールに加え、生徒一人一人がコーチと面談をして目指すゴールを決め、そのゴールに向かって、それぞれの練習内容や達成すべき課題も設定されています。
ナリムさんは、もともとはプロのラグビー選手でした。ロトルアで生まれ育ち、学校卒業後はBay of Plenty(ベイオブプレンティ)やNorth Harbor(ノースハーバー)で、またスーパーラグビーのチーフスや、ラグビーリーグのウェストタイガーズでも、プロとしてプレイしていたそうです。
現役引退後は、コーチングを学び、ニュージーランドのNPCのサードディビジョンのチームのコーチとなり、そのチームをディビジョン優勝させました。
ロトルアボーイズハイには、2015年にDirector of Rugbyとして就任。就任したその年にチームを全国優勝に導きました。
そんなロトルアボーイズハイスクールの総監督ナリムさんに、日本のラグビーとニュージーランドのラグビーについて、高校生のウェイトトレーニングの必要性、より良い選手になるための秘訣など、お話を聞きました。
日本のラグビーとニュージーランドのラグビーの強みと弱点
質問:日本のラグビースタイルと日本のラグビー選手について、あなたはどのように思いますか?
「日本は、非常に誇り高く、情熱のあるラグビー国です!」
「選手たちは、コンタクトの際、恐れることなくぶつかっていくし、そしてオープンスペースでは非常にパワフルです。」
質問:日本人のラグビー選手の優れたところと、弱点は何だと思いますか?
「日本の選手の強みは、学ぼうとする意欲が非常に高いことと、チームへの帰属意識が強く、自分の成功よりもチームとしての勝利や成功に重きを置くところだと思います。」
「逆に彼らの弱点は、ここぞというときに自分の力を100%出せるという confidence(自信)が少し足りないところだと思います。できた!という達成感の積み重ねが足りないので、普段の練習から、できた!という喜びをもっと味わうことが必要だと思います。」
質問:では、ニュージーランドのラグビー選手の優れたところと、弱点は何でしょうか?
「ニュージーランドの選手たちの最大の強みは、もともと本能的に闘争精神が備わっていることです。そして、ギャップをみつけて前に進む際の”目の力”も、とても優れています。ニュージーランドの選手は、ステップを踏んで、スペースをみつけて前に出るスキルが非常に高いです。」
「ニュージーランドの選手たちの弱点は、インストラクションを聞いてその通りに動くのが苦手な場合があることです。説明やアドバイスをきちんと聞けない選手もたまにいます。」
「ニュージーランドの、特にマオリのファミリーは、おじさんやおばさんなども含めてとても大人数のファミリーです。子どもたちは、小さいことから、いろんな大人にそれはそれはたくさんの様々なアドバイスを受けて成長します。ラグビーに関するアドバイスもそれ以外のアドバイスも、みんなそれぞれがいろんなことを言います。だんだん大きくなってくると、あまりにもアドバイスが多すぎて、どれを聞いたらよいのかわからないほどになるので、ティーンエイジャーになると、みんなだんだんアドバイスを聞かなくなってくるのです。(笑)」
より良いラグビー選手になるために
ロトルアボーイズハイスクールのラグビーアカデミーでは、週に1回から2回、スケジュールを決めて、生徒たちはジムでウェイトトレーニングを行います。
日本では、中学生や高校生のあいだは、身体がしっかりできあがっていないので、ウェイトトレーニングはまだしないほうがよい、という意見もあるようです。
中学生から高校生の選手のウェイトトレーニングの必要性について、ナリムさんの意見を聞きました。
質問:中学・高校生の若い選手でも、ウェイトトレーニングが必要なのですか?
「Weight resistance training(負荷をかけるウェイトトレーニング)は、ラグビー選手の強さと力を作り出すために、若い選手にとっても、とても重要なトレーニングです。
しかし、これは細心の注意を払って行わなければなりません。
完璧なテクニックを使い、正しい重さの負荷をかけたトレーニングを行うことが必要です。正しい負荷トレーニングをすることは、どの年齢のどのレベルの選手にとっても、必要かつ重要なことです。」
質問:ロトルアボーイズハイに、ラグビー留学にきている日本の若い選手たちをどのように評価しますか?
「彼らはFantastic(ファンタスティック)だよ!彼らは真摯な姿勢で学び、教えたことをどんどん吸収して、どんどん上手になっていく!」
Having plenty of fun! That is the most important!
質問:より良いラグビー選手になるために、一番重要なことは何ですか?
「Preparation is the key to success.(事前にしっかり準備することが成功の秘訣です。)
さらに良いラグビー選手になるには、基本的なスキルをしっかり基本どおりに行うことが大切です。」
「パス、キャッチ、キックなど基本的な動作に焦点をあて、基本に忠実に行うことを心がけてください。一番重要なことは、いつでも一番基本的なところに帰依するのです。」
「Having plenty of fun! That is the most important!」
「思いっきり、ラグビーを楽しむこと!それが一番重要なのです。」
参考ウェブサイト
Rotorua Boys’High School www.rbhs.school.nz
- 上野清子(Seiko Ueno)
- 新婚旅行でNZに魅せられ、1997年に夫婦でロトルアに移住。
- ジュニアからオールブラックスまで、NZラグビーが大好き。
- 娘一人。
- 留学エージェント「キックオフNZ」マネージャー
- モンテッソーリ小学校Trust Chairperson、通訳/翻訳。