【医療保険に入っていれば、乳房再建はカバーされる？】
　前回は乳ガンによる乳房切除と再建について話しました。（詳細はリンクご参照）
第298回　 乳房切除と再建について
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=298
　そして、「医療保険に入っていれば、本当に再建手術はカバーされるのでしょうか？」というところで話が終わりました。今回はそのつづきで、乳ガンと医療保険について話を進めましょう。
【ガンをカバーする保険としない保険】
　まず、「すべての医療保険は乳ガンなどのガン治療をカバーするのか？」となったら、答えは「ノー」です。医療保険は提供している保険会社の数も多く、1社が何種類ものプランを用意しています。つまりいろいろな種類の医療保険があるので、ガンをカバーするものとしないものがあります。
　これは月々の保険料に反映されるので、40歳非喫煙女性の月の支払いが40ドル以下の医療保険であれば、まずガンは対象にならないか、対象になってもごく限られたもので治療全般ではないと思ったほうがいいでしょう。
【加入している保険がガン治療を対象とするかどうかの確認を】
　これを読んで、「自分は医療保険に入っているし、ガンもカバーされているはず。でも保険料が月々40ドル以下だ」と心配になった人は、すぐに保険の約款を確認してみてください。ガンがカバーされないのを承知で加入しているのであれば問題ないのですが、「カバーされる」と思っている場合が問題です。ガン治療は医療行為の中でも最も高額なものなので、本当にカバーされるかどうかは非常に重要です。
【カバーされる場合、どこまでカバーされるのか】
　さらに問題となるのが、「カバーされる」ことがわかっていても、「どこまでカバーされる」のかがよくわかっていない場合です。ここで報道された実例を挙げてみましょう。ハミルトンの42歳の女性は乳ガン発症後、乳腺腫瘤摘出と化学療法を行ったものの、半年後に乳房切除をしなければならなくなり、同時に乳房再建手術を受けました。
【乳房再建費用の上限額設定がある保険】
　この女性はガン治療もカバーする医療保険に入っており、手術に関しては10万ドルまで保障されるものでした。しかし、乳房再建に関しては1万5,000ドルという上限がありました。女性は念のため保険会社の担当者に電話を入れて確認すると、「手術に関しては10万ドルまで保障される」と言われ、乳房再建の上限に関しては指摘されませんでした。
【上限額以上の金額が借金に】
　執刀医は事前に見積もりを保険会社に送り、その後、保険会社から手術を承認する旨の手紙が女性のもとに送付されてきました。女性はそこで1万5,000ドルの上限に気づいたものの、担当者と電話で話しているので大丈夫だろうと手術に臨みました。
　乳房再建は内容が非常に細かく分かれているので、費用も2～5万ドルぐらいまで、まちまちです。片方なのか両方なのかでももちろん費用が違ってきます。女性の費用は2万6,500ドルだったそうで、保険負担の1万5,000ドルを差し引いて、カバーされない1万1,500ドルが未払いとなり、執刀医への借金として残ってしまいました。
原文はリンクご参照
http://www.nzherald.co.nz/lifestyle/news/article.cfm?c_id=6&objectid=11216434
【保障内容は保険会社ではなくプラン次第】
　原文の中に保険会社ごとの乳房再建への対応について簡単に触れられているので、既に加入している場合は確認してみてください。ただし、保障内容は保険会社ではなく、加入しているプランによるので、「○○保険なら大丈夫。△△保険はだめ」というものではありません。この点は非常に誤解されているのでお気をつけください。
　なお、私を通じて医療保険に加入されている方のプランは、どれも乳房再建に限った上限金額の設定がありません。ご参考までに。