今回も医療に関する日本人社会の都市伝説と化している話(つまり間違い)をお送りしましょう。以下はもうひとつのよくある誤解です。
その2:『NZは医療費が無料』
これも日本人のお客様にお会いしてほんとうによく聞く話です。
高橋「無料ということはちょっと風邪を引いて病院に行ってもタダってことですか?」
お客「そうなんですよね。まだNZに来てから病院に行ったことがないんですけど。」
高橋「えーーーー!!!誰に聞いたんですか?」
お客「エージェントです。」
NZはすべての医療費が無料。ガンになっても風邪を引いても、病院というところはすべて無料―――こう信じている人のほとんどが永住者で、移住エージェントの説明会で「NZは医療費、教育費、年金が無料」といった説明を受けたというのです。もっと詳しい説明があったのかもしれませんが、「無料」というのはインパクトがありますから、そこだけが記憶に残っているようです。
NZで無料になる医療は公立病院で受けられる公共医療だけです。いわゆるかかりつけ医に相当する民間のGPはすべて有料であることを説明すると、
お客「えーーーー!!!高橋さん、それ誰に聞いたんですか?」
と驚かれます。お客様が信じていたように、何もかも無料で、必要なときにいつでも受診でるとしたら医療保険なんて要りません。要らない保険の加入を案内している私は、「いったい何者?」となってしまいます。
高橋「それなら、どうしてこの国に医療保険があるのでしょう?」
お客「豪華な私立病院に行きたいとか、入院のときは個室に入りたいっていう人のためじゃないですか?うちはそんなに高級でなくていいんです」
とんでもありません!この国の医療保険は私立病院で豪華な個室に入るためのものではありません。公立病院はどこもパンク寸前で「ホスピタル・クライシス」(病院危機)と言われて久しいのですが、人口増や人口の高齢化もありなかなか状況が改善しません。
公立病院では無料と引き換えに、順番待ちという状況を受け入れなくてはなりません。医療保険の一番の役割は、数週間ならまだしも、数ヶ月から数年になることもある公立病院での長い順番待ちを避け、医療費を自腹で払わなくても私立病院でただちに受診し、必要であればすぐに入院・手術を受けるための手段を確保するためのものです。
お客「でも公立は無料は無料ですよね。交通事故でケガをしても無料って聞きました。やっぱりよくわからないんですけど。」
確かにわかりにくいですね。次回はその辺をもう少し整理してお話しましょう。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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