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第248回  約4割の日本人がNZの医療制度を誤解:ケガの場合 

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【約4割が誤解】
 お伝えしたように、日本人と医療の話をしていると、実に約4割の人が、
「NZの医療は無料」なぜなら「ACCがある」だから「ACCレビーを払っている」
と制度を完全に誤解しているか、一部を誤解しています。
 
 今回は原点に立ち返って、何かと誤解されがちなNZの医療制度の話をしてみましょう。日本人にはピンと来ないのですが、この国の独特の制度として、まず『ケガ』か『病気』かで、その後の扱いが分かれます。今回は『ケガ』場合の対応をお話しましょう。
 
【ケガはACC】
 この場合のケガとは「いつ、どこで、なぜ発生したか」ということが説明できる突発性のものを指します。具体的に言えば、交通事故(加害者でも被害者でも)、労災、スポーツ、レジャー、DIY、転倒、料理中に指先を切ってしまった等原因は問わず、予期していなかった突発性のものであれば、なんでも対象になります。
 
【ACCのAはアクシデントのA】
 突発性のケガは、転んだり捻挫したりという小さなものから、交通事故のケガまで「事故」とみなされます。事故はすべてACCの管轄になります。ACCのAはアクシデント(事故)のAです。ちょっとしたケガで近所のGPに行ったり、大怪我をして救急車で公立病院に搬送されたりし、その場でACCのケースであることが確定した場合は、すべて無料になり(GPによってはACC書類作成のための手数料等をとる場合があります)、ケガが原因で仕事ができなくなった場合の生活保障もACCから支給されます。
 
【ケガでなければACCとは無関係】
 これが事故ではない場合はどうなるでしょう。
「最近どうも腰が痛い」
といった、「いつ、どこで、なぜ発生したか」がはっきりしないものは、「まずACCの対象にならない」と考えたほうがいいでしょう。特に最近のACCは慢性化したものや加齢によるものを対象にしない傾向を強めています。ケガとみなされなければACCとは関係なく、無料の対象にもなりません。
 
【腰痛はケガではなく病気の場合も】
「ACCのケースになるかどうか」でよくもめるのが腰痛です。腰痛が起きると、
「週末にスポーツをしてひねった?」
「前にぎっくり腰をやっているので再発?」
など、多くの人はまずケガを疑います。この場合はまずGPに行き、状況をできる限り詳しく説明し、痛みの原因がなにか、ケガと診断された場合はACCの対象になるかどうかを聞き、GPの指示に従ってください。
 
 腰痛はケガではなく、腎臓など内臓疾患により痛みが生じている場合もあるので、気になる痛みはぜひGPで受診してみてください。痛みが病気によるものと診断されたら、ケガではないのでACCの対象にはなりません。
 
 次回は病気の場合の話をします。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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