今日は医療保険の話をしてみます。ちょっと変わった内容で『保険の解約』についてです。経験上、お客様が医療保険を解約する大きな理由は二つあります。一つは帰国、もう一つは保険料の値上がりで加入を断念することです。
どの保険会社の保険料も、毎年の諸物価の上昇を受けて値上がりします。唯一の例外が自動車保険での無事故割引で、場合によっては下がる場合があるでしょう。(私の場合、お客様の日本での運転暦も考慮して、無事故の場合は最初から6割の割引率を提供しています) 保険で車や家を修理するにしても、修理費用は毎年値上がりしているので、保険料はそれを反映しています。
特に医療保険は通常のインフレに加え、加齢による保険料の値上がりが必ずあります。健康な人でも30歳と50歳では病気になる確率、なった後の快復力が違うのはおわかりでしょう。保険料はこの点も反映します。女性やタバコを吸う人はさらに割高になりますが、これも病気になる確率から逆算されたものです。
解約の時に相談を受けることもありますが、保険会社に直接連絡をとって解約されるお客様もいらっしゃいます。保険に入るのも自由なら、やめるのも自由なので、ご自分で決めていただくのが一番いいのですが、もしもご相談を受けていたら別の方法もあったのではないかと思うと残念なケースもあります。
それは保険に加入してから病気や何らかの症状が出ていた人の解約です。保険の加入を続けている限り、これらの病気や症状は一生保険でカバーされます。何年かして再発したり転移が見つかっても、保険の対象です。それがガンであってもです。しかし、解約してしまうと、再び医療保険に入ったときに加入以前に発症していたものは全て既往症(保険加入以前に発症していた疾病や症状、検査によって疑いを指摘されていたもの)とみなされ、保険の対象にならない可能性が高くなります。
「できたら解約したくないけれど、保険料負担を何とかしたい」という場合は、2つの方法のご検討をお勧めします。
(1)免責をつける
これは保険金を請求する場合、毎回免責額までを自己負担とすることで、保険料を安くする方法です。例えば保険の対象となる事案で、CTスキャンを受けて900ドルかかったとします。免責を500ドルに設定していると、400ドルが保険で戻ります。手術・入院で4万ドルかかっても、免責は500ドルで3万9,500ドルが保険でおります。
詳しくはすでにコラムにしているのでリンク先をご参考下さい。
第199回 医療保険への質問-どうしたら保険料を抑えられますか?
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=199
(2)保険をダウングレードする
例えばGPカバーのある保険であれば、1回数十ドルで収まることがほとんどのGPカバーを外し、医療費がぐんと高くなる専門医、手術・入院だけをカバーする保険にする。それでも負担が大きすぎる場合は専門医を外し、手術・入院だけをカバーするものにダウングレードする、という方法です。保障内容が少なくなる分、保険料が安くなり、保険加入後に発症した既往症も引き続き保険の対象になります。
タバコを吸う人であれば、まずは禁煙です。これで保険料が10%程度は安くなることでしょう。健康のためにも家計のためにも、ご検討下さい。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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