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第164回  医療保険のよくある誤解-医療保険編 

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医療保険に関して同じような質問をよく受けるので、ここで一度取り上げてみます。
 
【質問】:不正出血のようなものがあり、おなかも張るような気がしてGPに行ったら、ウルトラサウンド(超音波)の検査を受けた方が良いと言われました。1回200ドルぐらいするらしいですが、こういう検査も保険でおりますか?
 
【回答】:加入している医療保険がスペシャリスト(専門医)をカバーしているものであれば、おります。保険会社によって名前はいろいろですが、スペシャリスト・カバーなどと呼ばれている保険です。ただし、入院・手術のみを対象とする基本カバーの医療保険では対象になりません。
 
 こういう質問の一番の理由は、「健康診断が保険の対象にならないように、検査も保険の対象ではない」と思っている人が多いことです。これは医療保険に対するよくある誤解です。気になることがあって自分で検査機関に行って調べても保険の対象にはなりませんが、GPの指示であれば、スペシャリストをカバーする保険であれば、対象になります。
 
 また、その検査で入院・手術が必要となった場合はもちろん、さらに検査が必要と診断された場合、問題がないことがわかった場合のいずれでも、保険の対象になります。「問題がなかったら保険がおりないのでは?」と心配する人がいますが、これもよくある誤解で、保険会社側の条件は病気を発症しているかどうかではなく、GPの指示かどうかなのです。
 
 誤解が誤解を呼んで、「検査では保険が使えないからGPに紹介されても行かないで、日本に帰ったときに日本の医者に行こう。それなら健康保険の3割負担で済む」という話まで聞きます。これではせっかくのスペシャリスト・カバーが無駄になってしまいます。
 
【質問】:GPにスペシャリストを紹介してもらうとなると、会って診察代を払わなければならない。なんとかGPに会わずに直接スペシャリスト(または検査機関)に行って、それを保険に請求することはできないか。
 
【回答】:これもよく受ける質問で、医療保険に対する誤解の一つです。皮膚科や婦人科など症状がはっきりしているものは、日本のように直接、皮膚科や婦人科にかかりたいところですが、上の質問と同様で、GPの指示でなはないスペシャリストの診察や検査は保険の対象にならないのでご注意下さい。
 
 これは保険会社の規定というわけではなく、この国の医療制度全体が全てGPを起点にしているからなのです。救急車で公立病院に送り込まれるような緊急事態でない限り、すべての症状はまずGPでの診断から始まり、保険に加入していれば基本的には順番待ちの問題がない私立の医療機関へ、加入していなければ公立病院へ、とGPが振り分けていきます。
 
 GPでスペシャリストや検査機関を紹介されるときに、「保険に入っているか」と聞かれるのはこのためです。紹介状を一筆書いてもらうのに、GPの診察代を払うのは惜しいように思われるかもしれませんが、ここが大事な点なのがおわかりでしょうか。
 
 入院・手術だけの基本カバーの場合は、GPに「保険に入っている」と答えてしまうと、スペシャリストの診察料や検査費用(通常数百ドル)は自前になるので、この点はGPによく確認することをお忘れなく。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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