2回目となった自動車保険の話ですが、加入者の多さではサードパーティー保険が圧倒的です。
(1)保険料が安い
(2)車の価値がそれほど高くない
この辺の理由が一番の加入理由になっています。
「小さい事故なら自腹でなんとかします。高額だったら車を買い換えればいいので」
という理由もよく耳にします。
そんなある日、携帯が鳴って「車を当てられました。すぐ修理したいので保険を!」という連絡。
「あのー、ご加入の保険はサードパーティーでしたよね?」
「そうです。」
「サードパーティーの場合はご自分の車はカバーされないので、加害者に修理してもらうことになります。」
「えっ?じゃ保険に入っていても使えないんですか?」
「はい。残念ながらフルカバーでないとご自分の車の修理はできません。」
今まで何度も繰り返された事故第一報後のやりとりです。
事故直後で当事者が動揺している時に
「ご加入の保険ではカバーされません」
と言うのはしのびないのですが、何度もこういうことがあるので、皆さんとっさに、
「保険がある。なんとかなる」
と思われるのでしょう。
ここで改めておさらいですが、サードパーティー保険は対物賠償保険ですから、自分が加害者になってしまった時に、相手の車や破損した物(店の看板や建物など)の修理や現状復帰を補償するもので、自分の車は対象になりません。
また、意外に知られていないことなのですが、サードパーティーという英語が示すように、あくまでも「相手」の物を補償するので、自宅の建造物(ガレージ、塀、門も含む)や自分が所有する物(もう一台の車、自転車、ボート、ガレージ内の物など)にうっかり当ててしまっても補償の対象になりません。
家族名義のものも同様で、妻名義の車に夫がぶつけたり、仕事用の車と自家用車が接触してもいずれも補償の対象になりませんので、敷地内といえどもくれぐれもご注意を。
サードパーティー保険の加入者が被害者になった場合で、唯一保険会社をあてにできるとすれば、当て逃げされたときです。しかし、これにはいくつか条件があります。
(1)たまたま目撃者がいて、当てた車と加害者を特定できる
(2)被害者に100%過失がないことを証明でき、被害が車の走行に支障が出るほど大きい
(3)加害者が保険に入っておらず、被害者による修理費の支払い交渉が難航している
(4)修理が行われていない
こうした条件を満たしていれば、保険会社が修理費を立て替えた上で加害者から修理費を徴収する場合があります。ただし、保険会社や事故の状況によるので詳細はご加入の保険会社にお問い合わせください。
この場合、見落とされてしまうのが、「相手が保険に入っていない」「車の修理が行われていない」という点です。「車がないと仕事に差し支える」と急いで自腹で修理してしまったり、相手が保険に入っているのに使いたがらずに交渉が難航している場合、保険会社が関与する可能性はまずないので、この点もご注意下さい。
この件は以前にも取り上げているのでリンクをご参照ください。
第30回 【質問コーナー】車を当て逃げされた時
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=30
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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