保険の「そもそも論」が続いたので、今回はちょっと具体的な話をしましょう。先日、ある知り合いから、「クルマを当てられた」という話を聞きました。それだけでもお気の毒ですが、なんと当てた相手が「自分で修理する」と言って車を持っていってしまったそうです。いやぁ、さすがニュージーランド! 意外な展開になるものです(笑)
で、その相手、いろいろやってみたものの上手くいかなかったようで、結局修理屋に引き渡し、修理したそうです。知り合いは、しばらく車がなく不便だったでしょうが、最終的に修理されて戻ってきたときはホッと一安心。当てた相手は工具や部品を買い込んで失敗した揚げ句、修理代も払って泣きっ面にハチだったことでしょう。
なぜニュージーランドでは、「ぶつけた相手の車を自分で修理する」などということが起きるのでしょうか? 答えは簡単です。加害者が自動車保険に入っていない、無保険ドライバーだったからです。自腹を切る以上、修理費をできる限り安く抑えたいのです。
長年リスク・マネジメントに携わってきた身として、当てられた相手に車を預け、その所在がしばらく分からないなどという事態は、ぜひとも避けるようお勧めします。最終的に「塗装の色が違う」くらいで済めばいい方で、修理が不完全で第二の事故を誘発してしまったり、最悪の場合、部品を質の悪いものと交換されてしまったりしても、素人目には分からないからです。
「まさか」とお思いかもしれませんが、ぶつけた相手はいかに感じが良くてもあなたと利害衝突している相手なのですから、過信は禁物です。言葉の問題で不利な立場に立たないよう、小さな事故でも、(1)疑問点をしつこく聞き出す、(2)状況をできる限り多く写真に収める、(3)やり取りを書面に残す、(4)信頼できるキーウィに第三者になってもらうなど、少しでも自己防衛された方が良いでしょう。
加害者が保険に入っていれば修理費用は保険でおりますから、自分で修理するなどという突拍子もないことにはならないはずです。しかし、無保険ドライバーとなると、どのように修理するかは相手が決めることになり、被害者の立場は二重に弱くなります。これでは本当に当てられ損です。加害者も被害者も大きく痛み分けをしなくてはならない――これが無保険の意味するところなのです。
ニュージーランドの自動車保険は、どこの保険会社も3種類のタイプしかなく明快です。最も基本的な「対物賠償保険」(いわゆるサード・パーティー保険)なら、月額コーヒー数杯分の値段で加入できます。
無保険ドライバーを脱し、安心とゆとりの運転を!
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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