【NZは医療費が無料?】
この仕事をしていると、「NZは医療費が無料」と信じている日本人に、ときどきお会いします。「風邪を引いても、ガンになっても、交通事故にあっても、医療というものは何でも無料」というのです。そういう方は皆さん健康でGPにも行ったことがないため、何でも無料ではないことをご存知ないまま過ごしているのです。
「なんでこの国で医療保険が必要なんですか?」
と、それをご案内している私など、要らないものを売り歩く怪しい者に見えるでしょう。
この話は以前にもしているのでリンクをご参照下さい。
第247回 医療に関する日本人社会の都市伝説:NZは医療費が無料?
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=247
【無料の公立病院に行くためには】
さすがに滞在が長くなってくると、「この国の医療はなんでも無料」ではないことがわかってくると思いますが、それでも「公立病院に行けば無料」というところで、理解が止まっている場合が多いようです。日本の公立病院のように外来があると思っていて、
「お腹の調子が悪かったら胃腸科、膀胱炎になったら泌尿器科、皮膚にアレルギー症状が出たら皮膚科に行けばいい」
と思っているのです。どんな症状や病気でも必ずGPを受診し、その紹介状がないと公立病院には行けないと説明すると、驚かれたり、「まさかー」と疑われたりします。
【公立病院の順番待ち】
さらに、GPの紹介状があっても症状や病気によっては数ヶ月から数年待ちになる場合もあることを説明すると、
「まさかーーーー。病気になってそんなに待ってら、どんどん悪くなっちゃうじゃないですか!」
と、さらに驚かれ、私への不信が強くなるようで、
「この人、保険に入ってほしいから大げさに言ってるんだ」
と思われがちです。しかし、順番待ちに入れればいい方で、入れない場合すらあります。
【順番待ちリストに入れない場合も】
医療保険の業界団体が依頼した調査によると、昨年28万人が「手術が必要」と告げられたにもかかわらず、17万人が順番待ちリストに入らなかったという結果が出ました。ここでいう手術とは一刻を争う緊急手術(脳疾患や心臓疾患など)以外の待機手術(あらかじめ予約をして日時を決めて、必要であれば術前検診などを受けてから行う手術)を指します。公立病院で問題になっているのは、まさにこの待機手術のことです。
17万人全員が医療保険に加入していて、公立病院の順番待ちを回避するために私立病院での速やかな治療を選んだわけではないのはおわかりでしょう。「手術が必要」と診断されていながら、公立病院の順番待ちリストに入れない場合もあるのです。次回はその具体例をご紹介しましょう。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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