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第287回  公立病院の順番待ちリストに入れない実例 

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【公立病院の順番待ちリストに入れない】
 ウェリントン在住の51歳の女性は膝の裏にテニスボール大ののう胞(cyst、体の中にできる液体が溜まった袋)ができ、痛くて3時間以上眠ることができないにもかかわらず、公立のウェリントン病院で手術を受けるには「痛みが不十分」と判断され、順番待ちリストに入ることができずにいるとして、新聞で紹介されました。
 
【私立病院に行くか、悪化を待つか】
 順番待ちリストに入れないということは、そのままではいくら待っても、無料の公立病院で治療を受けることはできません。では、どうすればいいのでしょう?この女性のように医療保険がない場合は、自腹で高額の私立病院に行くか、順番待ちリストに入れるほど症状が悪化するのを待つかです。病院からの手紙によれば、手術の必要性を示す数字が100点満点のうち64点以上であれば順番待ちリストに入れるものの、女性は60点だったそうです。
 
【専門医は手術の必要性を指摘】
 この女性の場合、歩くのに足をひきずり、3時間以上眠ることができないだけでなく、ウェリントン病院の専門医から今年の1月に、
「関節鏡手術(細い管の先にレンズとライトが付いた関節鏡を関節内に入れて行う治療法)が最良の選択」
と告げられたにもかかわらず、その6週間後に送られてきた病院からの手紙では手術の必要性を認められませんでした。
 
【GPと公立病院の間で宙に浮く例】
 「ショックでした。私立病院は高くて行けません。これでまた振り出しです。」
という女性の言葉どおり、GPから紹介状が出ても公立病院での治療が認められず、宙に浮いてしまう例は枚挙に暇がありません。女性はまたGPに戻り、再度紹介状を書いてもらうことになります。
 
【GPは再び紹介するしかない】
 以前ご紹介した友人の話もそうですが、公立病院は「GPでこれ以上できることがない」と証明しないとまず予約を受け付けてくれないため、紹介状を出している段階でGPにはそれ以上できることがないと思ったほうがいいでしょう。しかし、順番待ちリストに入れるかどかは公立病院側が決めるので、リストに入れなければGPは再び紹介するしかありません。
第250回  片耳が聞こえなくなっても公立病院なら順番待ちの実例
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=250
 
【順番待ちリストに入れないリスク】
 記事の中でNZ医師会の会長が、
「これは手術医にとってもGPにとってもストレスで、手術医は患者さんに『手術が必要です』と告げても、手術を行うことができないのです。」
という現状を語っています。公立病院の対応には予算という限りがあります。数ヶ月から数年という順番待ちの長さ以前に、順番待ちリストに入れないリスクもあることを覚えておいて下さい。
 
記事の原文
No room on surgery wait list
http://www.stuff.co.nz/dominion-post/news/9837891/No-room-on-surgery-wait-list

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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