【医療保険なのにガンをカバーしない?】
前回は「ガンになったらいくらもらえる?」と題してガンのときにいくらぐらいかかるのか、保険の面からお話しました。
詳しくはリンクご参照。
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=279
医療保険のお問い合わせを受けるとき、ほとんどの人が「たとえばガンになったら?」ということを念頭に置いているようで、よくガンに関する質問を受けます。ところが、医療保険によってはガン治療をカバーしないものもあるのをご存知ですか?
【ガンどころか心臓疾患、脳疾患も対象外】
どういう保険がガンをカバーしないのかというと、ズバリ保険料が安い保険です。手元のある保険会社の資料によれば、その保険ではガン治療どころか、心臓疾患も脳疾患もカバーしません。つまり三大疾病(「ガン」「急性心筋梗塞」「脳卒中」)はすべて対象外です。
【まだまだある対象外】
さらにその保険では、腰、膝、肩など問題が起きやすい関節や脚全体、目、首、胸、背中、神経も対象外で、内臓では消化管(通常口から肛門まで)、肝臓、腎臓、膵臓なども対象外で、皮膚科のスペシャリスト、手術を伴わない入院も対象外です。ここまでカバーしないと、逆に「何だったらカバーされるんですか?」となりませんか?
【手術・入院はカバーしても。。。。。】
上の保険でカバーされるものを挙げてみると、盲腸、痔、口、鼻、耳、かかと、肘などで、ざっくり言ってしまえば、脳や内臓の問題では保険は使えないと思ったほうがいいでしょう。果たして、どれぐらいの人がどれぐらいの確率で口や耳、肛門やかかとの問題で専門医にかかり、手術・入院となるでしょうか?盲腸はかなりのケースが緊急扱いでしょうから、そうなれば救急車を呼んで無料の公立病院直行となり、医療保険があっても使えません。
【ほんとうに安くていい保険?】
「高橋さんの保険は高いですね。私は安くていい保険に入ってますよ!」
ときどき、こう言われることがありますが、保険料が安い保険は必ず保険の対象となる範囲が限られています。加入者がそれをわかって入っているのであれば問題ないのですが、問題なのはほとんどの人が保障内容がこれほど少ないということをわかっていない事です。「保険で手術・入院がカバーされる」という安心感で、肝心なところが見落とされてしまっているのです。
【保険料の違いが保障内容の違い】
上のような保険、一般的にベーシック・カバーなどと呼ばれる保険(保険名にもベーシックとつくものが多い)と、私がご紹介しているような既往症以外すべてを対象とするコンプリヘンシブ・カバーの違いを、同じ保険会社の保険料で比べてみましょう。
(例)40歳、非喫煙優良体、月額保険料、免責なし
ベーシック・カバー
男:$21
女:$21
コンプリヘンシブ・カバー (年間最大30万ドルまでカバー)
男:$79
女:$97
(注:比較のために免責なしの保険料。免責をつけることで保険料を安くできます)
【いざという時に役に立ってこそ】
「年間最大30万ドル」(ガンの場合は最大20万ドル)という保障に万が一のときの安心感が表れているかと思います。皆さんが心配されるガン治療をどこまで保障できるのか、さらに脳疾患や心臓疾患の治療費も、私立病院での治療となると通常は3~6万ドル、場合によっては10万ドルを超えます。
医療保険は「入っていれば安心」というお守りではありません。いざという時に役に立ってこそ価値を発揮します。役に立たなければ月額20ドルでも結果的に割高なものになってしまいませんか?
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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