【実施は月末以降か】
3月に「4月よりNZの損害保険業界が住宅保険を抜本的に見直します」とお伝えして、以下のコラムを掲載しました。
第224回 4月から住宅保険が大幅に見直されます
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=224
4月ももう半ばですが、見直しはまだ実施されていません。損保業界では4月末としていますが、今のところ私たち関係者にも詳しい情報が入っておらず、さらに延期されそうです。
【新たな保険料の算出方法を調整中】
実施が遅れている最大の理由は、今回の見直しが「25年ぶりの大改革」とも言われる大掛かりなもので、保険の元受会社大手3社(実際に保険を発行している会社。NZでは同じ保険を違う保険会社名で販売している場合がほとんど)が、保険料の算出方法を話し合っているからです。今後はどこの保険会社で加入しても、基本的な保険料の計算方法は同じになります。ただし、保険料まで均一になるわけではありません。
【今までは現状復帰を補償】
見直しが実施されるとどうなるのでしょうか。3月にお伝えした内容と重複しますが、重要な変更なので、ここでもう一度詳しくお話しておきましょう。今までのNZの住宅保険の基本方針はトータル・リプレイスメントと呼ばれる完全な現状復帰でした。半壊だろうが全壊だろうが、修理や再建にいくらかかろうが、「元の状態に戻すこと」を補償してきました。
【加入者に非常に有利】
これは世界的に見ても非常に恵まれた条件です。しかし、クライストチャーチ地震を境にNZの地震リスクが見直され、再保険会社がNZも国際的な基準を導入するよう求めきました。日本人のお客様が補償内容を知って、「NZの住宅保険は日本の火災保険と地震保険がセットになったようなものなのに、保険料はこんなに安い!」と驚かれることはよくあります。今までの補償内容はそれほど加入者に有利なものだったのです。
【大災害に対応しきれない可能性】
恵まれた補償の背後には、国の自然災害補償機関EQC(地震委員会)と民間保険会社がリスクを分散し、共同で補償するというユニークな制度があったことが挙げられますが、今ではクライストチャーチ地震並みの大災害がなかったという幸運が一番大きかったと考えられています。再保険会社がNZに諸外国並みの条件を要求してくるのもわかります。
【今後は補償上限額までを補償】
見直し後の住宅保険は、家の構造、築年数、立地(斜面か平地かなど)、使っている建材、トイレや風呂の数、増改築の有無やその内容を細かく問い、同じ家を建て替えた場合、実際いくら必要になるのかをできる限り反映した保険金額(Sum Insured)、つまり補償上限額を決め、それを基準に保険料を決定します。家が全損した場合は、現状復帰を補償するのではなく、補償上限額までを補償します。そのため保険金を安く抑えるために、家の価値を過小に見積もると、いざというときに保険金だけでは家を建て替えられなくなるのでご注意下さい。
【住宅保険未加入の方は、今ならお得】
見直し後の保険料は今まで考慮されなかったさまざまなリスクを反映して、大幅な値上げが避けられないといわれています。自宅でも借家でもNZに住宅がありながら、まだ住宅保険に加入していない方は、制度変更前の今なら今後1年間は現在の保険料で現状復帰が補償されるので、変更後に加入するより大変お得になるはずです。未加入の方はお急ぎご検討ください。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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