ラグビーワールドカップも3分の1が終わってしまいました。ここはカナダ戦でのジャパンの健闘に期待したいです。オールブラックスもこの調子でがんばってほしいですね。
さて、今回はちょっと変わったところで、飲食店経営者の皆さまを対象にコラムを書いてみます。ビジネス保険のお問い合わせで一番多いのは飲食業関係、二番目は旅行業関係です。特に最近は「カフェを買いました」「日本食の出店を検討中」ということで、新規の保険加入や今入っている保険の見直しのご相談が多くなっています。
話をうかがうと、ビジネスを買ったときに前のオーナーの保険を引き継いでいるケースが非常に多く、引き継いでいる理由は、
「開店準備で忙しく、とても保険のことまで手が回らなかった」
「保険のことがよくわからない」
「とりあえず前のオーナーの保険があるので、なにもないより安心」
といったところで、内容をよく確認しないまま保険料だけを払い続けている例がよくあります。その場合のよくある問題点を、いくつか挙げてみましょう。
1)前のオーナーの事業と現在の事業の違い
一口に飲食店と言っても、テイクアウェイがカフェになったり、カフェが日本食になったりと、業務と保険の内容が合わなくなっている場合がよくあります。テイクアウェイや日本食の店は揚げ物を出すところが多く、カフェなど揚げ物をしない業務よりも火災が発生する確率を考慮した保険料になります。この分を保険に加味していないと、実際に問題が発生した場合に、必要な補償額が得られなくなる可能性があります。
2)事業規模の違い
自然災害や火災でビジネスが完全ストップしてしまった場合でも、利益補償保険(ビジネス・インタラプション保険)に入っていれば、休業期間が長期に及んでも前年度の年間粗利益(売上高から売上原価を差し引いた額)相当の保険金が最長24ヶ月間支払われます。せっかくこの保険に入っていても、前のオーナーの売上より現在の売上が大きくなっていると、これもまた十分な補償が得られません。ビジネスを買ってから売上高が数倍になったお客様の例もあり、これも現状に合わせた見直しが必要です。逆に売上が減少している場合は保険料が安くなるので、これも見直しが必要になります。
3)在庫の違い
あまり在庫を必要としないカフェを買って、ワインの品揃えを売り物にしたレストランをオープンしたとします。この場合、在庫の量や金額が大きく変わってきます。また日本食の店で手に入りにくい日本の食材を一度に仕入れて在庫としておくこともあるかと思います。こうした在庫の違いも保険料に反映させる必要があります。逆のこともあるので、払いすぎにもご注意下さい。
こうした問題点はあくまで一例で、ほかにも経営者自身が首を傾げるようなものにずっと保険料を払っていたという例もあるので、前のオーナーの保険を引き継いでいる場合はぜひ内容のご確認を。
また、ビジネス保険というと、つい賠償責任保険に偏りがちですが、クライストチャーチ地震のように不可抗力で営業ができなくなった場合は、利益補償保険も重要です。地震以降多くの経営者が注目している保険でもあり、次回はこの話を続けてみます。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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