クライストチャーチ大地震から明日で2週間になります。まだ水や電気が復旧していない地域もあるようで、現地の皆さんのご苦労やご辛抱は大変なものでしょう。改めて被災された方々にお見舞い申し上げます。
保険屋として、地震絡みの保険金請求、お問い合わせなどいろいろご連絡を受け、保険会社とも何度も話をしてきました。現状から言うと、現在クライストチャーチを中心にかなり広い範囲のカンタベリー地域で、ほとんどの損害保険の新規受付けが一時停止されています。この状況はどの保険会社でも同じようです。
地震からの教訓として、カンタベリー地域にお住まいで現在損害保険(自動車・家財・住宅保険)に加入されている場合は、できる限り解約しないことをお勧めします。一度解約してしまうと、しばらく加入できない恐れがあります。加入している限り更新はできるので、仮に余震が続いたとしても保険があれば心強いでしょう。
また、カンタベリー地域以外にお住まいの方で、損害保険に入ろうかどうか検討されている方は、ぜひお早めの加入をお勧めします。あまり知られていないことですが、家財保険と住宅保険はどの保険会社で加入しても保険料の中にEQC(地震委員会)の運営費用になるEQC税、自然災害税が含まれています。また自動車も含め全ての損害保険には消防署の運営費用になる火災税も含まれています。
これでお分かりかと思いますが、こうした諸税が今回の地震を受け、早々に引き上げられることは確実です。損害保険はいずれも1年更新なので増税前に加入していればその保険料が1年間は適用されます。
現在のEQC税は家財保険で10ドル、住宅保険で50ドルです。これは保険料にかかわらず一律です。つまり価値が30万ドルの家でも100万ドルの家でも同じ金額になります。ということは、家の価値が高くなればなるほどパーセンテージで見た影響は小さくなりますが、2部屋物件など金額が低めの家であれば、影響が大きくなります。
現在はこうした自然災害に対応する諸税がどれぐらい引き上げられるのかわかりませんが、現実的にかなり大幅なものになると思われます。さらに、以下のリンクで取り上げたように(これは2回目の地震の前に更新した内容です)、海外でも大地震後は民間の保険会社が再保険費用の値上がりなど諸経費の上昇により、保険料を大幅に見直しています。
第139回 カンタベリー地震の住宅保険への影響-住宅保険編
http://www.nzdaisuki.com/column_insurance/detail.php?issue=139
官民の費用が一緒になったNZの損害保険料はいずれの面からも、値上げが確実視されています。しかし、ここでも何度も取り上げてきたように、家財も住宅も保険に入っていないとEQCの対象にならず、政府からの支援を受けられないのでくれぐれもご注意ください。
もちろん、空き巣に入られ、ドアを壊されて進入され(住宅保険)、パソコン、テレビ、デジカメ、宝石を盗まれた(家財保険)という場合は、保険会社が直接補償するので、いすれも自動車保険同様に、NZ暮らしには欠かせない保険と言えるでしょう。
なお、住宅保険に加入しないまま住宅ローンを組んでいて、今回のような災害に見舞われた場合、家が全壊してもローンは残り、建て替え費用も自己負担になってしまいます。しかし、保険に入っていれば家はEQCと保険会社が建て替えてくれるので、負担が全然異なります。住宅を購入しても保険に入っていない場合は、ぜひご一考を。
次回も家財・住宅保険の利点をご紹介します。
高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)
アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。
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