2005年5月から始めたこの連載もとうとう100回を迎えました。始めたときは、保険の話だけでどこまで続くのだろうと自分でも半信半疑で、こんなに続くとは思ってもみませんでした。
 
　けっきょくのところ、お客様や読者の方の質問から、「こういうところが誤解されている」「日本の保険との違いが知られていない」とさまざまなことに気付き、キウイセーバーに至っては「まったく理解されていない！」と感じ、それを取り上げていくうちに100回になったという感じです。
 
　皆様からのご質問やお問い合わせがあっての100回達成なのはまちがいありません。この場を借りてお礼申し上げます。また先日は、「コラムなんか書いている専門家にこんなこと聞いてもいいんでしょうか」という質問を受け、びっくりするやら大笑いするやらでした。
 
　日本と制度が違ってわかりにくかったり、複雑に感じられたり、自分に合ったものがわからなかったりするNZの保険を、わかりやすく説明し、数社の保険商品の中からご希望に一番近いものをご紹介していくのが私の仕事ですから、どんな小さな質問でも、「今さら人に聞けない」と思うことでも、何なりとお尋ね下さい。
 
　保険業界は今、激動の時代を迎えています。2008年のアメリカのリーマン・ショック以降、世界的な規模で金融機関の再編やコンプライアンス（法律や規制にのっとった遵法経営）の強化が進んでいます。金融業界の健全性を確立するために、保険会社も含めた金融機関、各国の監督官庁、政府も動き出しています。
 
　こうした中でNZの保険業界も変わりつつります。2010年12月以降は生命保険の販売には「公認ファイナンシァル・アドバイザー」（Authorised Financial Adviser）であることが求められるようになり、そのためにはNZQA（政府機関のNZ資格庁）の定める「レベル5」の資格が必要になります。
 
　この資格は指定された各種コースを受講し、試験にパスしなくてはならない厳格なもので、業界内では現在全国で５千人いるファイナンシァル・アドバイザーが千人にまで減少する恐れがあると言われているほどです。規制の強化は待ったなしの状態にあります。
 
　私事になりますが、今年すでに1年前倒しで「レベル5」を取得しました。そのため関連法の改正が来年12月より施行されても、今まで通りのサービスがご提供できます。
 
　お客様に「高橋さんはずっとNZにいますか」と尋ねられることがありますが、保険という息の長い商品をご提供している以上、安定したサービスを続けることの重要性は常に感じています。それが信頼を培っていく唯一の方法だとも思っています。私はNZでずっとこの仕事を続けていきます。連載100回を機に、気持ちも新たにがんばっていく所存です。
 
　今年も残りわずかとなりましたが、お客様、読者の方、いろいろお世話になりました。
 
　皆様、良いお年をお迎え下さい。そして来年もどうぞよろしくお願いいたします。