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第95回  一生ものの保険 第2回-医療保険編 

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前回はキーウィの友人が皮膚ガンの手術で鼻を3分の1かそれ以上取るかもしれないという話でした。今回はその続きです。まさに医療保険が必要なときに、友人は「2割の自己負担が払えない」という理由で保険をキャンセルし、無料の公共医療で手術を受けることに決めました。
 
 保険屋として、もしも事前にアドバイスを求められていたら、なんと答えていたか考えてみました。
 
 まず、保険を継続することを勧めていたと思います。友人はこれまでに何度も小さい皮膚ガンを摘出をしていて、そのたびに保険を使っていました。自己負担はせいぜい1回数百ドルだったので素早く対応できる保険は大いに価値がありました。また心臓の問題でも専門医にかかっていて保険を使っていました。
 
 ご存知のように皮膚ガンは再発しやすいガンです。1度かかると1、2年に1回検診を受け、数年に1回は再発が見つかって摘出、ということを繰り返すことが多く、友人もこのケースの典型です。
 
 保険を解約すると、これ以降の皮膚ガンと心臓病、新たにかかるかもしれない別の病気も公共医療に頼るしかなく、今までのようなタイムリーな治療には期待できなくなります。特に心臓の方は差し迫った問題ではないので、順番待ちの優先順位が低くなり専門医の受診まで数ヶ月待ち、手術や入院となったらさらに待つ可能性もあります。
 
 また医療保険の特徴として、加入以前に発症していた病気(場合によっては完治しているものも含め)は総じて既往症と呼ばれ、通常では保険の対象になりません。友人が再び医療保険に加入しようとしても、皮膚ガンも心臓病も既往症になってしまい保険の対象にはならないのです。また彼女の場合、年齢が60代なので保険会社によってはそろそろ保険に入れなくなります。(継続は可能)
 
 こうしてみると、医療保険はある意味で一生ものだということがわかります。保険料を安く抑えるために自己負担のあるタイプを選択し、いざ手術、入院となっても数千ドルが負担できるのであれば、とてもいい選択だと思います。逆に友人のように負担ができなければ、保険の意味をなさなくなってしまいます。
 
 医療保険によっては自動車保険と同じで自己負担を一定額にしているものもあります。この場合、保険料はやや高くなりますが、保険請求時に自己負担額がいくらになるのかを心配する必要がなく安心です。もちろん自己負担額のない、全てを保険でカバーするタイプもあります。保険料はこれが一番高くなりますが安心感も一番高いものです。
 
 いずれの保険も年齢とともに保険料が上がっていきます。「歳をとったら自己負担のある安いタイプに切り替えればいい」と思っても、すでに保険請求をしている病気が保険対象から外れてしまうのであれば、あまり意味がないでしょう。
 
 医療保険に加入するときは、健康状態や病歴だけでなく将来的な保険料負担、両親の病歴(ガンや生活習慣病などかかる可能性が高い病気の考慮)など幅広く検討して、いろいろな保険の中から一番相応しい保険を選ぶことをお勧めします。先のことは誰にもわかりませんが、かかりそうな病、払えそうな保険料をよく考えながら、専門家に相談してみることは決して無駄にはならないと思います。

 

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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