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第14回  永住者の医療保険選び-医療保険編 

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4回にわたって、なぜニュージーランドでは医療保険が欠かせないのかをご説明してきましたが、多少なりともお分かりいただけたでしょうか? 国の医療費無料化は構想こそ素晴らしいものの、待ち時間の問題は当事者になった時に思い知る深刻な問題ではないかと思います。
 
 NZ医療の問題を考慮しつつ、できるだけ費用を安く抑えてと現実的に考えた場合、永住者にとって最も理想的なのが「専門医、手術・入院」をカバーする保険です。生活の基盤がここにあり、「いざとなったら日本に帰ればいい」とは言えない方には最適です。
 
 安さを追求するのであれば、「手術・入院」のみをカバーするタイプもあります。しかし、これまでお話してきたように一番の問題は「国の医療に頼っていては、すぐには専門医に会えない」という点なので、このタイプでは手術・入院以前の問題が解決できません。実際のところ、手術・入院となる事態はまれで、専門医の診断・精密検査のみで終わることも多いでしょう。
 
 手厚さを追求するのであれば、GP(一般医)からカバーするタイプもあります。海外旅行保険が切れた段階で同様のタイプをお望みなら、このタイプです。しかし、専門医からカバーするタイプとの保険料の違いを考えると、年間5回以上GPに行く方であればこちらの方が割安になるでしょうが、そうでない方には割高になる可能性があります。
 
 GPの費用は1回当たり数十ドルなので、これはポケットから払い、待ち時間と医療費負担が気になる段階から、保険でカバーしてはいかがでしょう?もちろん日頃から病院に行く頻度の高い方はGPからカバーされる方がお得でしょうから、この辺はニーズ次第です。
 
 よくある質問に、「大きな病気にかかっても保険でカバーできるのは1年だけ。2年目からはその病気で病院にかかってもカバーされないので、やっぱり医療保険ってムダでは?」というのがあります。確かに、海外旅行保険や永住者が加入できない長期滞在者向けの保険ではそうですが、医療保険のほとんどは2年目以降も契約を続け、保険料を払い続ければ、保険の対象になります。他にも興味深い数字を二つばかり挙げてみましょう。
 
 日本の厚生労働省の統計によれば、がん治療での平均入院日数は35~64歳で24.4日、65歳以上で32.1日です。NZでもほぼ同様でしょう。一方、NZの私立病院で乳がんの放射線治療を受けた場合の平均医療費は4~5万ドルです。個人によって継続治療の期間と費用はまちまちでしょうが、当然ながら初期の治療や手術が最も高くつきます。
 
 つまり、がんのような大きな病気が見つかった場合、最初の1ヶ月が治療のカギを握り、医療費負担も集中します。私は精神的にも肉体的にも経済的にも最も困難なこの時期を心強く乗り切ることこそ、医療保険の一番の目的ではないかと思っています。

高橋靖宏【たかはし・やすひろ】
Financial Adviser (FSP68982)

アクセレレイト・コンサルティング社所属。海外進出企業の医療及びセキュリティ・リスク・マネジメントのスペシャリストとして、海外で長らくアシスタンス会社に勤務。NZで初の日本人公認ファイナンシャル・アドバイザーとして、生命保険、医療保険、損害保険など各種保険商品とキウイセーバーを日本語でご提供しています。

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